TSMCは1月16日、2024年12月31日に終了した2024年第4四半期の決算説明会を開催した。
それによると同四半期の連結売上高(確定値)は前年同期比38.8%増、前四半期比14.3%増の8684億6000万NTドル、純利益は前年同期比57.0%増、前四半期比15.2%増の3746億8000万NTドルとなり、四半期ベースで売り上げ、利益ともに過去最高を更新したという。また、ドルベースで見た場合、同四半期の売上高は前年同期比37.0%増、前四半期比14.4%増の268億8000万ドルとなっている。
全売り上げの半数以上をHPCが計上
同四半期の売上高をプラットフォーム(最終用途分野)別で見ると、HPC向けが53%と過半を占めたほか、次いでスマートフォン(スマホ)用が35%で、この2分野だけで全体の88%を占めた。
また、2024年通年で見ると、HPC 向けが51%、スマホ向けが35%の合計86%となった。2024年通年のHPC向け売上がGPUを中心とするAI半導体の恩恵を受けて前年比58%増と急伸している点が注目される。
また、同四半期の売上高をプロセス別で、3nmプロセスが全体の26nm、5nmが34%、7nmが14%と同社が定義する先端プロセスだけで全体の74%を占めたほか、通年でも3nmが18%、5nmが34%、7nmが17%で先端プロセス全体で69%となり、2023年の58%、2022年の53%から徐々に単価の高い先端プロセスの出荷額の割合が高まることが業績向上に貢献していることが窺える。
国・地域別に売上高を見ると、北米(主に米国)が75%を占め、次いで中国とアジア(中国と日本を除く)が各9%で続く。日本は4%、EMEAが3%となっている。
2025年も前年比25%程度の伸びを予測
TSMCは2025年第1四半期の売上高について、1ドル=32.8NTドルの為替レートを前提として250億~258億ドルと予想している。売上総利益率は57%~59%、営業利益率は46.5%~48.5%となる見込みで、2024年同様、AI関連需要の高止まりが続くと判断しており、2025年通期の売上高についてもドルベースで前年比20%台半ばの増収と予測している。また、設備投資計画は最大同4割増の380億~420億ドルを見込んでおり、3年ぶりに過去最高を更新しそうである。
TSMCの上級副社長兼最高財務責任者(CFO)であるウェンデル・フアン氏は、「2024年第4四半期は、業界をリードする3nmおよび5nmプロセスに対する強い需要に支えられた。2025年第1四半期は、スマホの季節性による影響を受けると予想しているが、AI関連の需要の継続的な成長によって部分的に相殺される見込みである」と述べている。
2025年より2nmの量産を開始、1.6nmは2026年後半の量産開始を予定
同社のC.C, Wei会長は、決算説明会において今後の微細プロセスの量産計画について、3nm(N3)に対する堅調な需要を踏まえ、台南サイエンスパークの生産能力を継続的に拡大していること、ならびに顧客からの強い構造的需要に対応するため、新竹サイエンスパークと高雄サイエンスパークの2nm(N2)ファブでの量産を今年後半より開始する準備を進めていることを説明。 2nmプロセスについては、スマホとHPCのアプリケーションの両方が後押しし、最初の2年間における新規テープアウト数は、3nmおよび5nmの立ち上げ時のテープアウト数を上回ると予想されるとしている。
また、1.6nm(A16)プロセスは、複雑な信号経路と高密度電力供給ネットワークを備えたHPC製品に最適で、量産は2026年後半より開始する予定。「N2、N2P、A16およびその派生製品は、TSMCの技術リーダーシップの地位をさらに強化し、TSMCが将来に向けて成長の機会を獲得することを可能にすると確信している」とC.C. Wei会長は強調している。
日本を含めて順調に進む海外工場展開
またC.C.Wei会長は海外工場の展開状況にも触れ、米国、日本、欧州ともに順調に進んでいると述べた。米国アリゾナ州の最初の工場(TSMC Fab21 Phase1)は、台湾の工場と同等の歩留まりで、4nm(N4)プロセスを活用し、計画を前倒しする形で2024年第4四半期より大量生産を開始していることを公式に明らかにしたほか、アリゾナ州における第2および第3工場の計画も順調に進んでおり、特に第2工場は装置搬入も始まっており、2026年後半には量産を開始する予定である。第3工場については、間もなく建設を開始する予定だとしている。
日本については、政府、地方自治体などからの支援もあり順調に進んでいるとしており、熊本の最初の工場(TSMC Fab23 Phase1)は良好な歩留まりで、2024年末より量産を開始したことを強調。2番目の工場の建設についてもPhase1の隣接地に2025年中に開始する予定だとしている。
欧州工場については、欧州委員会、ドイツ連邦、州、市政府から強いコミットメントを得ており、自動車および産業機器向け半導体工場を独ドレスデンに建設する計画が順調に進んでいるとする。
このほか、台湾でも、台湾政府からの支援を継続的に受けており、最先端技術とパッケージング能力への投資と拡大に取り組んでいるとする。
なお、バイデン大統領が1月に入って発表したAI半導体に対する輸出規制に関しての投資家からの質問についてWei会長は、「まだ分析していないが、第一印象としてはそれほど重要ではなく、十分管理可能と思われる。つまり、TSMCの顧客は米国政府に輸出許可申請を出しており、許可されると確信している」と述べている。





