米国商務省で国家安全保障と高度産業技術に関する問題を扱う産業安全保障局は1月15日、中国向けの先進半導体について新たな規制を発表した。2024年に発覚したHuaweiの最新AI半導体問題に対応するもので、より包括的な管理体制の構築を目指す。

安全保障を損なう試みを確実に阻止

最新の規制は、商務省下の産業安全保障局(BIS)が発表した。1つは、先進的な半導体を対象とした既存の輸出規制のアップデート、もう1つは輸出を禁止するエンティティリストに、中国とシンガポールの企業16社を加えたこと。

既存の規制の強化は、一部の先進的なチップを輸出するファウンドリとパッケージ企業に対し、性能の閾(しきい)値を下回ることを証明する、マカオまたはCountry Group D:5に分類される国(中国、北朝鮮、ロシア、イラン、イラクなど)以外の場所で前工程製造業者によりパッケージングされ、製造業者が最終チップのトランジスタ数を確認する、などの条件を課す。

Reutersによると、14/16ナノメートル以下の特定パラメータを満たすAI半導体が対象であり、TSMCやSamsungなどが影響を受けるという。エンティティリストに加わるのは、Sophgo Technologies、Zhipu AIなど。

Sophgoは、TSMCに発注したチップがHuaweiのAIシステムで使用されていた問題で仲介役を担っているという疑惑が持たれていた。Zhipuは中国のAIベンチャーで、Alibabaなどの出資を受け、LLM(大規模言語でモル)の開発を手掛けている。

米国商務省長官のGina M. Raimondo氏は「中国やその他の国が米国の規制を回避して、米国国家安全保障を損なおうとする試みを確実に阻止するため」と説明している。