米国政府は1月13日、AI半導体の輸出規制を強化する方針を発表した。新たに発表した規制は、2022年10月、2023年10月の半導体規制を土台とし、米国の国家安全保障の強化を目的とする。

中国、北朝鮮、イラン、ロシアなどは輸出禁止措置を適用

新しい制度の下、米政府はAIの処理用の半導体について、3層のライセンスシステムを設ける。最上位は日本が含まれるG7加盟国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、オランダ、アイルランド、台湾などが含まれ、チップ提供の制限はなし。

中間層は輸出量に上限が設けられ、それ以上の個数についてはライセンスの取得が必要。100カ国以上が該当、大学や研究機関、医療機関が無害な目的で使用するような場面が想定される。最下位層は事実上の輸出禁止措置を適用する。中国、北朝鮮、イラン、ロシアなどがこの層に含まれる。

同日に米政府が発表したファクトシートでは「AIは安全保障と経済力の両方で急速に中心的な存在」であり、「AIチップ技術が米国外に流出することなく世界のAIが米国の基盤上で動作する必要がある」と記している。

また「米国の技術が世界のAI利用の基盤となり、敵対者が高度なAIを簡単に悪用できないようにする必要がある」とも説明している。

この規制は120日間意見を公募した後に発効となる。なお、米国では先の大統領選挙を受け、1月20日にDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏が大統領に就任することになっている。

一方、NVIDIAは同日にブログを発表し、新たな規制は「世界レベルのイノベーションと経済成長を脅かすもの」、一般的なゲームPCや消費者向けハードウェアで利用される技術も対象となることから「米国の安全保障を高めることにはならない」と批判している。