竹中工務店、鹿島建設、アクティオの3社は、建設工事現場向けにパレットや台車、ボード材といった資機材を自動搬送するロボットを開発したと12月17日に発表。今後、2025年4月までに国内の建設現場において、同ロボットの試行を重ねて実用化を図る予定で、商品化した場合のレンタル窓口はアクティオが担当する。

  • 竹中工務店らが開発した「資機材自動搬送ロボット」

3社が開発した資機材自動搬送ロボットは、工事用エレベーターに積み込まれた資機材を所定のフロアで荷下ろし、建築物の属性情報なども含む建物情報モデル(BIM:Building Information Modeling)から作成した自動走行用地図を基に、フロアの所定の位置まで自律移動できるのが特徴。7月に大阪市内の建設現場で、実際に自動搬送できることを確認したという。

建設現場において、これまで建設作業員の付帯作業であった資機材搬送をロボットの活用で自動化することで、作業員がより高いスキルが求められる作業に専念できるようになるという。また、休憩時間や夜間など人が少ない時間も資機材の搬送が自動で行え、揚重・水平搬送効率の向上も見込む。

ロボットの外形寸法は988×2,386×920mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は660㎏、最大可搬重量は2,000㎏。上部には、自己位置を把握するための2D LiDARと、搬送対象となる資機材用パレットに貼り付けた2次元コードの位置を検出するためのバーコードリーダーを備える。

2D LiDARで前方270度の範囲の物体を検知し、そこで取得した点群データと、建物のBIMデータから作成した自動走行用地図をマッチングさせ、自己位置を推定しながら設定したルートを自律走行。走行時に、事前取得した地図にない障害物などがあった場合には自動停止する。人がリモコン操作することもできる。

こうした資機材の自動搬送の仕組みは、このロボットと工事用エレベーターのほか、竹中工務店が開発した「建設ロボットプラットフォーム」(RPF)、鹿島建設が開発した「自動搬送管理システム」(JHSアプリ)を連携させることで実現。自動搬送管理システムで、搬送予約・調整、搬送ルートの指示と実績収集を行い、建設ロボットプラットフォームでは同システムから指示を受け、各種ロボットの搬送経路をBIMデータと連動させて生成、運行制御や状態管理を担う。

  • 自動搬送の仕組み