TSMCが2024年11月の連結売上高(速報値)を発表した。それによると、同月の売上高は前年同月比34.0%増、月間売上高として初めて3000億NTドルを突破した前月比では12.2%減となる約2760億5800万NTドルとなったという。これにより、2024年1月から11月までの累積売上高は前年同期比31.8%増の2兆6161億4500万NTドルと、好調を維持している。
背景には、NVIDIAを中心とするAI半導体関連の需要の高止まりに加え、Appleをはじめとするハイエンドスマートフォン向け半導体も堅調に推移しており、同社の勢いは2025年まで続く可能性が高い。米国政府による中国へのAI半導体を中心とする輸出規制が続く中での高い売り上げの伸びもあり、同社の第4四半期売上高は事前ガイダンスの8352~8608億NTドルの上限に達する見込みである。
2025年も好調が持続、IDC予測では前年比25%の成長見通し
米国のハイテク市場調査会社IDCの最新の予測によると、2025年の半導体市場規模は前年比15%増の7820億ドル、その内、ファウンドリ市場は同20%の成長と見込まれるという。また、TSMCに限ってみた場合、売上高はAI関連を中心に需要の高止まりが続き、同25%の増加となり、過去最高額を更新することが期待されるという。
IDCのシニア半導体研究マネージャーであるガレン・ゼン(曾冠瑋)氏によると、2025年のTSMCの成長予測に基づいた同社のファウンドリ市場シェアは2024年の64%から2025年には67%まで拡大することが予測される。また、TSMCが提唱する新たなファウンドリの定義(Foundruy2.0:専業ファウンドリ+メモリを除くIDMの売上高)でみても、市場シェアは2024年の33%から36%に上昇すると見られるという。
TSMCは、急ぎの注文に対応する最速生産サイクルである「スーパーホットラン」の提供により5/4/3nmプロセスを採用した半導体の生産を急ピッチで進めており、これらの技術ノードの利用者の多くが活用しているという。また、まもなく2nmプロセスを用いた少量試作のためのスーパーシャトルサービスも始める模様である。
なお、TSMCは、主にNVIDIAのAI半導体に使用されている先端パッケージング技術、いわゆるチップ・オン・ウェハ・オン・シリコン(CoWoS)の生産能力を、2024年の33万ユニットから2025年には66万ユニットに倍増させる予定だと言われているが、それでもCoWoSの能力は依然として不十分だろうとIDCは見ている。