半導体基板自動搬送システムメーカーのローツェは、同社連結子会社であるベトナムのRORZE ROBOTECHに対する3億3000万ドル(約500億円)の設備投資を行い、新工場を建設する計画を発表した。これにより、RORZE ROBOTECHの生産能力は倍増することになるという。
投資の具体的な内容としては、既存製品の需要増加への対応、ならびに新規開発製品の量産体制を整備して市場投入を加速させることを目指し、製造ラインの自動化の推進および生産効率の向上を図ることで、生産能力の倍増を実現するとしている。
新工場は、ベトナムのハイフォン市にある日本ハイフォン工業団地内(現工場と同じ工業団地)に建設され、土地面積は約23万8300m2、 延床面積は約18万2を予定。2025年半ばから投資を開始し、第1期の新工場は2026年春ごろに建設を開始、2027年春ごろの完成を目指し、その後、市場の動向を見つつ、投資を実施していくとしている。
なお、ローツエは1990年代に人件費や素材調達コストの安いベトナムに目をつけ、RORZE ROBOTECHを1996年10月に設立。現在は社員が3000人を超える規模にまで成長している。ちなみに広島県に本社を構えるローツェ本体の従業員は240人ほどであり、ベトナム法人の1/10以下となっている。
ベトナムは2023年秋に米バイデン大統領が訪問し、両国間での半導体分野をはじめとする経済連携強化に合意して以降、NVIDIAやSynopsys、Amkorなどさまざまな米国系半導体企業が進出を表明しているほか、ベトナム政府も半導体人材5万人育成計画を打ち出し、日本にも人材育成への協力を求めつつ、日本企業の誘致を推進。ローツェのベトナムでの成功を受けて、進出を決定した装置・付帯設備メーカーも少なくないという。
なお、ローツェでは、2025年3月に迎える創業40周年記念の式典をベトナムの既存工場にて行う予定としている。同式典にはベトナム政府からも関係者が参加する予定で、ベトナム情報通信省が「ベトナム半導体の未来像」、ベトナム計画投資省が「ベトナム半導体投資環境」についての講演を行う予定だという。