三井不動産が先導する宇宙関連産業領域の活性化を目的とした宇宙ビジネス共創プラットフォーム「クロスユー」は、11月18日から22日までの5日間にわたって、国内外の宇宙プレイヤーが東京・日本橋に集結する宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2024」を開催している。
4回目の開催となる同イベントでは、宇宙産業を牽引する産官学の企業・団体が一堂に会し、さまざまな展示やカンファレンスなどのイベントを通じて交流の機会を創出することで、新たなイノベーションが生まれ宇宙ビジネスが加速することが期待される。
NIHONBASHI SPACE WEEK 2024の開幕に際し18日には、クロスユーがオープニングセレモニーを開催し、イベント開催の狙いや期待を説明。またセレモニーの中では、欧州宇宙機関(ESA)などヨーロッパの宇宙産業をリードする3機関との間で、宇宙領域における国際協力促進に関するパートナーシップが締結された。
宇宙ビジネスの共創加速を目指した日本橋での5日間
今年で4回目の開催となるNIHONBASHI SPACE WEEKは、大企業や異業種企業を含む新たなプレイヤーの参入によって活況を呈する日本の宇宙産業において、その最新ビジネス動向やキープレイヤーとの交流機会創出によって新たな共創を促進し、日本橋から世界の宇宙産業を活性化することを目指して開催されているイベント。2021年の初開催時は、日本橋の宇宙ビジネス共創拠点「X-NIHONBASHI」を運営する三井不動産が主催であったが、2023年に行われた前回のイベントからは、同社が主体となった宇宙ビジネス共創プラットフォームのクロスユーが主催者となっている。
5日間の同イベントでは、宇宙関連の各団体・企業が出展しそれぞれのブースで共創の種を探る“EXHIBITION”や、宇宙産業のキーパーソンや注目企業などが登壇する“CONFERENCE STAGE”および“PRESENTATION STAGE”など、さまざまなイベントが展開される。
実寸大の4つの宇宙機が日本橋に登場!
また日本橋三井タワーのアトリウムでは、小惑星リュウグウのサンプルリターンミッションに成功した「はやぶさ2」の実寸大型模型、月面着陸に向けた打ち上げを予定するispaceの「RESILIENCEランダー」実寸模型、気球による成層圏での宇宙遊覧フライト実現を目指す岩谷技研の2名乗り気密キャビン「T-10 Earther」実機、現在も宇宙で運用されているアクセルスペースの小型衛星「GRUS-1」実寸模型の4機が一般公開されている。
クロスユーの中須賀真一理事長(東京大学大学院 工学系研究科 教授)は、およそ8000人もの参加者を集めた昨年よりも多くの動員に期待しているといい、「新しい技術やビジネスアイデアの創生、共同研究のテーマ作り、あるいはビジネスの共創が起こることを目指したイベント」とすることを目指すとのこと。また宇宙戦略基金の創設もあって非常に重要な局面を迎える日本の宇宙産業において、「人が集うことで宇宙ビジネスを加速させるというクロスユーの目的を追求し、今後も日本宇宙産業の拡大、そして人々の豊かな生活に貢献していきたい」と語った。
クロスユーがESAなど欧州3団体とパートナーシップを締結
また中須賀理事長は、宇宙産業の発展において“海外展開”が非常に重要とする。「地上のインフラが非常に整っている日本では、宇宙産業の成長はある程度で頭打ちになりうる。それを大きくスケールアップさせていくためには、海外の機関・企業とも連携して共に動いていかなくてはいけない」としており、今回のイベントでも、欧州やアジアの政府系宇宙機関やスタートアップ企業がブースを出展するなど、その連携を拡大させている。
なお今回のオープニングセレモニーでは、ESA、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、Harwell Science and Innovation Campus(ハーウェル)の欧州3団体それぞれとクロスユーとの間で、宇宙分野の協力促進を目的とした提携に関するパートナーシップが締結された。
具体的には、クロスユーはESAとの間で、宇宙事業を行うヨーロッパのベンチャー企業と日本企業のビジネスマッチング推進などの連携を実施しているといい、今後も国際連携を加速させるべく、合意書(LOI)の締結に至ったという。またCNESとの間では、宇宙関連産業における日仏企業の連携強化に向けた覚書(MOU)を、ハーウェルとは宇宙関連分野の産官学における国際連携強化を目指すMOUを締結。各団体の代表者がセレモニーに登壇し、それぞれ締結式が行われた。
クロスユーにとって、国外の政府機関や宇宙関連団体とのパートナーシップ締結は、今回が初めてとのこと。この締結を通じてクロスユーは、欧州各国と日本における宇宙領域のエコシステムをつなぐ役割を担っていくとしている。