スクロールは11月1日、子会社である、スクロールロジスティクスとスクロール360が、DIY用品のECを展開する大都を刑事告訴すると発表した。スクロールによると、大都の役員らとスクロールロジスティクスの元従業員2人が共謀して、スクロールの営業秘密の持ち出しや、従業員の引き抜き、備品の窃取を行ったと主張している。
これに対し大都は、「物流事業の一部をスクロールに委託していた関係から、情報の持ち出しがあったことを確認した」と、一部事実を認めた。ただ、従業員の引き抜きや窃取については、「事実無根」であると反論している。
<メディア向けに実名公表>
スクロールによると、大都の役員数人とスクロールロジスティクスの従業員2人が、①物流現場に関する営業秘密の持ち出し ②物流倉庫の現場の従業員(アルバイト)の引き抜き ③物流倉庫で使用する無断発注した備品の窃取――の3つの不当行為を行ったと主張している。
大都が自社物流拠点を構えることを見据えて、これまでスクロールロジスティクスに委託していた物流業務に関わる、情報や人員、備品を不当に取得したと主張している。
スクロールは、1日に発表したプレスリリースで、この件に関わった、大都の役員と、スクロールロジスティクスの元従業員の実名を公表した。大都がスクロールロジスティクスの営業秘密情報を使用しているとして、不正競争防止法違反として刑事告訴するとしている。
<「職業選択の自由」を尊重>
これに対して大都は、①の「情報の持ち出し」について一部を事実であると認めた。大都によると、スクロールロジスティクスを退職して大都に就職した人物が、スクロール在籍時に使用していたアカウントを、退職後も利用できる状態にあり、情報を保持する状態だったとしている。ただ、不正競争防止法上の営業秘密には当たらないと主張している。
大都はビジネス上の倫理違反があったとして、10月30日付で、スクロールの元従業員を解雇。スクロールロジスティクスに謝罪した。
②の「従業員の引き抜き」については、スクロールを退社して大都に就職を希望したアルバイトスタッフはいるものの、積極的な勧誘は行っていないと主張。職業選択の自由を尊重して採用したとしている。
③の「備品の窃取」については、「そのような事実は把握しておらず、万が一何らかの問題があったとしても当社が関与した事実はない」と主張している。
大都によると、スクロールロジスティクスの子会社の従業員だった2人は、釣り具用品のECのナチュラムの元従業員だったという。大都の役員もナチュラムの従業員だったことから、10年以上の関係と信頼があったとしている。
大都は11月1日、大阪市内に自社物流拠点を開設。大都が販売するすべての製品を集約した。