「国際卓越研究大学」の初認定を目指す東北大学の役割と使命

日本再生に向けて何が必要か─。GDP(国内総生産)では日本は世界第4位だが、1人当たりGDPでは38位。人口減、少子化・高齢化が続き、日本の競争力強化は待ったなしだ。

「東北地方は社会課題が集積している先進地域。その東北地方で課題を克服するためのイノベーションを見つけることができれば、それを世界に展開できる」─。このように語るのは東北大学総長の冨永悌二氏だ。

 同大学は国が設立した10兆円規模の基金の運用益を活用し、世界トップレベルの研究水準を目指す「国際卓越研究大学」について初の認定に向けた候補となった。選定理由は教授を筆頭とした「講座制」と呼ばれる体制から、教員それぞれに学生や研究員などを配置し、若手や中堅の研究者が自ら挑戦できる体制に変更する点などだ。

 冨永氏は「日本の研究力が低下していると言われて久しい」と危惧する。文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の調査で、日本は質の高い論文ランキングで世界13位に下降し、イランに抜かれた。「これまでずっと海外にイノベーションで負け、日本の産業は元気がなかった。今回の卓越大学の認定は新たな知の価値を生み出し、それを産業界と一緒にイノベーションにつなげて欲しいと国から付託されたと思っている」と役割を語る冨永氏。

 また、少子化の波は大学業界にも押し寄せる。規制緩和などで2020年には大学数は800校程度まで増えたが、少子化の影響で私立大学の5割以上が定員割れとなっている。

 東北大学が示した認定に向けた計画案の改訂では、理工系と人文系が一段と融合した「総合知」に基づく新たな価値創造を示した。また、臨床系教員の研究力強化につなげる新たな仕組みも盛り込んだ。

 今後の東北大学の取り組みは変革の先導役を地方に拠点を置く大学が担うということ─。同大学の危機感が問われることになる。

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