Samsung Electronics(サムスン電子)の受託チップ製造事業、ロジックチップ設計事業は赤字の状態だが、会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏は、これら事業のスピンオフを考えていないという。
チップ製造のファウンドリとシステムLSI事業で苦境か
サムスンは主力のメモリチップへの依存度を弱めるため、ロジックチップの設計と受託チップ製造事業を進めてきた。
Reutersの10月7日付の報道によると、李氏は2019年、2030年までに台湾のTSMCを追い越し、世界最大の受託チップメーカーになるというビジョンを発表していたとのこと。
一方で、サムスンの他社向けチップ設計および製造事業は、需要が低迷していることから年数十億ドルの損失を生んでいるという。同社は数十億ドル規模の投資を発表し、韓国と米国に新たな工場を建設しているが、大口顧客の受注獲得が思うようにいっていないとも記している。
Reutersがフィリピンを訪問中の李氏に、ファウンドリとロジックチップ設計事業の分離を検討しているかを尋ねたところ「積極的に事業の成長を進めていく。スピンオフには興味はない」と回答したという。
李氏は、韓国大統領の尹錫悦氏とフィリピン大統領のFerdinand Romualdez Marcos Jr.氏との首脳会談に同行していた。Reutersが9人のアナリストの推定を平均したところ、サムスンは2023年、チップ製造のファウンドリとシステムLSI事業において3兆1800億ウォンの営業損失を計上しているという。この損失が全体の業績を圧迫しているというアナリストの見解を紹介している。