産業技術総合研究所(産総研)発ベンチャーのイーディーピー(EDP)は9月26日、高ボロン濃度ダイヤモンド基板の大型化に成功し、製品として即日発売を開始したことを発表した。
ダイヤモンド半導体はSiCやGaNと比べても優れた特性を有しており、デバイス開発も世界中で進められている「。こうした市場背景を踏まえ、同社は2023年8月に高濃度ボロンをドーピングしたダイヤモンドならびに、自立基板である低抵抗基板ならびに通常の基板に薄膜を形成したエピタキシャル成長基板を発売したが、形状が7mm×7mmと小型で、大電力を制御するための大型デバイス開発や1個の基板に多数のデバイスを製作するといったニーズには対応が難しかったという。
そこで2023年11月には15mm×15mmの単結晶を開発。種結晶や基板として販売を行ってきたが、今回、この単結晶を活用する形で、低抵抗基板の面積拡大を行い、商品化することに成功したとする。
基本特性は2023年8月に製品化した低抵抗ダイヤモンド基板と同じとしており、ボロン含有量は2~4×1020/cm3。形状は1辺が2~13mmで、丸型ウェハの製作も可能なため、直径12.5mmのミニマルウェハを製作することも可能としており(基板サイズは0.1mm単位で指定可能。形状誤差は-0、+0.2mm。厚み仕様は0.1~0.2mmで、厚さ精度は-0、+0.05mm)、これによりミニマルファブの設備を使用することでデバイスの製作につなげやすくなると同社では説明している。
なお、同社では今後も単結晶のさらなる大型化に取り組んでいくとするほか、大型単結晶を接続したモザイクウェハの大型化にも取り組んでいくとしている。また、デバイス開発が進むことで、各種のエピタキシャル膜を形成した基板も必要になってくることが想定されることから、エピ基板の対象を広げるとともに、量子デバイスの開発につながる基板の開発も行っていくとしている。