TrendForceによると、2024年第2四半期のNAND市場は、PCおよびスマートフォン(スマホ)メーカーの在庫レベルが高く、ビット出荷量は前四半期比1%減となったが、AI需要による大容量ストレージ製品が堅調で、併せて価格も上昇し続けたことから、平均販売価格(ASP)も同15%上昇となり、NANDの総売上高は同14.2%増の167億9600万ドルとなったという。

大手NANDサプライヤ各社は、同四半期にて収益性を回復。第3四半期にはAIおよびサーバ市場からの強い需要に対応するために生産能力を拡大している。しかし、今年前半のPC/スマホ市場が予想を下回ったため、NANDの出荷成長は抑制される可能性が高いともしている。

第3四半期は、すべてのNAND製品のASPが同5~10%ほど上昇する一方、ピークシーズンの不振によりビット出荷数量は少なくとも同5%減となると予測され、結果としてNAND市場全体は、前四半期比でほぼ横ばいになるとTrendForceは予想している。

  • 2024年第2四半期の自社ブランドNANDメーカー売上高ランキング

    2024年第2四半期の自社ブランドNANDメーカー売上高ランキング (出所:TrendForce)

SSDの価格上昇が市場をけん引

シェアトップのSamsung Electronicsは、エンタープライズからの高い需要の反面、コンシューマ市場の低迷からビット出荷量は前四半期で若干の減少。しかし、ASPは同20%上昇としており、同四半期の売上高は同14.8%増の62億ドルと伸ばしている。第3四半期も出荷量の伸びとエンタープライズSSDの価格上昇がさらなる成長につながることが期待されるという。

シェア2位のSKグループ(SK hynixとSolidigm)もPCとスマホの需要抑制の影響を受けたが、AI需要の高まりに併せてSolidigmの出荷量が増加。その結果、ビット出荷量は前四半期比でわずかな減少となったが、ASPの同16%上昇もあり、NAND売上高は同13.6%増の37億1600万ドルとなった。SK hynixではエンタープライズSSDの需要が高いことから、長期的には同製品の出荷割合を40%まで高める計画だという。

3位のキオクシアもサーバ需要の改善によりビット出荷量は同12%増、ASPも同20%上昇としており、売上高も同27.7%増の23億2600万ドルとしている。4位のMicron Technologyは、ビット出荷量をわずかに減少させた一方でASPを同20%上昇させており、売上高は同15.2%増の19億8100万ドルまで高めており、今後もエンタープライズSSDに重点を置くことで成長を狙うとしている。

5位のWestern Digital(WDC)はPC市場の低迷によりビット出荷量がわずかに減少。ASPの上昇率はわずかであったことから、売上高は同3.3%増の17億6100万ドルに留まった。同社は今後のAI市場での成長に向け、2つの新製品を発売する予定としている。