キリンHD、ファンケルの完全子会社化に向けた公開買い付けが成立

キリンホールディングスは9月12日、ファンケルの完全子会社化に向けた公開買い付けが成立したと発表した。資本業務提携の枠組みを超えたさまざまな付加価値を創出し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーを目指す。

キリンホールディングスは2024年6月17日より、ファンケルの完全子会社化を目的に、金融商品取引法による普通株式、および新株予約権の公開買付けを行ってきた。

公開買付け期限の9月11日時点で、ファンケルの普通株式5194万6863株(所有割合42.72%)の応募があり、買付予定数の下限である4111万7700株を上回った。これにより今回の公開買付けは成立し、公開買い付けの決済開始日となる9月19日付で、キリンの既存保有株式3954万400 株(所有割合32.52%)と合わせた所有割合は75.24%となり、ファンケルはキリンの連結子会社となる。

今後、ファンケルの臨時株主総会で株式併合が決議されるなど一連の手続きを経て、ファンケルはキリンの完全子会社となる。

今回の取り組みについて、キリンホールディングス 代表取締役社長 COO 南方健志氏は、「ファンケルへのTOB成立は、ファンケルがキリングループの完全子会社となることにより、同社の持続的な成長が実現できるとファンケル株主様にも賛同していただいた結果と考えています。これにより、両グループの強みがさらに活かされ、国内外のお客様に新たな価値を提供できると確信します。当社としても覚悟をもってファンケルの企業価値向上に全を尽くし、豪州のBlackmoresとともに、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーを目指し、グループ全体の成長を実現します」と述べた。

キリンホールディングス 取締役常務執行役員 ヘルスサイエンス事業本部長 吉村透留は、「ファンケルグループとの関係をさらに深め、ともに新たな価値創造に向けて取り組めることを心より嬉しく思います。キリングループのヘルスサイエンス事業は、強みである研究開発力を活かし、ブランドビジネスであるBtoC事業を通じてアジア・パシフィックの人々に幅広くリーチし、健康課題の解決に貢献していくビジネスモデルの構築を目指しています。各社が強みを持つエリアでの事業基盤のさらなる強化を進めるとともに、ファンケル、キリン、Blackmores、3 社のアセットを活用してシナジーを創出していきます。そして、さらなる健康価値の提供を通じて、経済的価値の向上と社会的価値の創出を両立させ、CSV経営にさらに磨きをかけていきます」と話した。

ファンケル 代表取締役 社長執行役員 CEO 島田和幸氏は、「2019 年のキリンとの資本業務提携からの5年間でさまざまなシナジーが生まれ、両社の相互理解は深まり、信頼関は強く確かなものとなりました。今後は、これまで制限されてきた両グループ間でのノウハウ・技術情報等の共有が可能となり、シナジー効果をより短期間で最大化できると考えています。グローバルでのBlackmoresとの協業も加速します。これからもファンケルグループは、経営と全従業員が一丸となって、世の中の『不』の解消に取り組み、『美と健康』を一体化した形で、世界中のお客様に喜びと幸せをお届けしていきます」とコメントした。

Blackmores Limited 代表取締役社長 Alastair Symington氏は、「Blackmoresはアジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーになるというキリングループのビジョンに強く共感し、共に実現に向けて取り組んでいます。ファンケルの完全子会社化は、ビジョン実現に近づき、より多くの方々に最適な健康ソリューションを提供するための重要なステップだと考えています。将来的に、キリンの研究開発の強みと、ファンケルの優れた化粧品、健康食品の開発に関する知見、そしてBlackmoresが持つ自然療法の伝統とヘルスサイエンス分野におけるエビデンスに基づく知見を組み合わせて、新たなソリューションを創造、提供していくことを期待しています」とコメントした。

キリンホールディングス、ファンケルは、今後は資本業務提携の枠組みを超えたさまざまな付加価値を創出していくとし、ファンケルはキリングループのヘルスサイエンス事業の中核事業会社として、強みの源泉である創業理念は変えることなく、ブランドの「ファンケルらしさ」を一層高めていく考えを示した。

アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーへ成長するべく、Blackmoresも含めた3社が緊密に連携しながら事業を推進することで、キリングループ全体の成長を実現させ、企業価値の一層の向上を目指す。