越境EC支援のBEENOS、インバウンド支援のPaykeと提携 データ活用で「旅アト消費」活性化

越境EC支援大手のBEENOS(ビーノス)はこのほど、インバウンド対策支援のPayke(ぺイク)とパートナーシップを締結した。越境ECの国内支援実績5000件以上を誇るBEENOSが、訪日客が購入や購入を検討している商品データを持つPaykeと組むことで、インバウンドと越境ECのデータを分析し、「旅アト消費」の活性化を支援する。

越境EC市場は年々拡大している。コロナ禍に渡航規制があったことで、日本の商品を求める海外ユーザーの購買意欲が拡大した。アフターコロナでインバウンド(訪日観光客)が戻り、越境ECが減退するという見方もあったが、市場拡大は続いているようだ。

BEENOSの直井聖太CEOは、「インバウンドのお客さまが戻ってくると、『越境ECの流通が止まるのではないか?』という質問を多くいただく。実際はむしろ逆だと考えている。インバウンドのお客さまがお越しいただくと、日本のことをより好きになっていただける。そうすると帰国後に日本のものを欲しくなる。インバウンドが伸びることで、越境ECが伸びるという循環がある」と話す。

▲BEENOS 直井聖太CEO

BEENOSの提供する海外顧客の購買代行サービス「Buyee(バイイー)」は、越境EC市場の伸びとともに流通総額が拡大している。経済産業省の日中米の越境EC市場規模のデータは2022年までしか発表されていないが、「Buyee」の流通総額は2024年も成長が継続している。

日本商品の人気拡大や円安の進行が「Buyee」の流通拡大に寄与した。2024年にBuyeeの海外ユーザーの会員数は550万人を突破した。

「Buyee」のサービスも年々、拡充している。「2023年12月には国際配送代行サービスも展開し、越境ECの国際配送でナンバーワンの実績を持っている。コロナが明けて日本企業の海外展開意欲が高まる中、2024年6月には海外催事出展支援サービスの提供も開始している」(直井CEO)と話す。

<インバウンド×越境ECの解像度を高める>

今回、アフターコロナにインバウンドが再拡大していることを受け、訪日客の購入および購入を検討している商品データを持つPaykeとパートナーシップを締結し、インバウンドと越境ECの解像度を高め、多角的に日本企業の海外顧客への販売を支援できる体制を整える。

Paykeはインバウンドの旅行者向けのスマホアプリ「Payke」を提供している。「Payke」のユーザーは、「バーコード」を読み取るだけで商品情報を多言語で把握できる。繁体字・簡体字・韓国語・タイ語・ベトナム語・英語・日本語の7カ国語に対応可能しており、すでに500万件以上ダウンロードされている。

Paykeの古田奎輔CEOは、「翻訳アプリとは大きな違いがある。例えば『ちんすこう』を翻訳アプリで読み込むと、ローマ字で『Chinsuko』と表示される。『ちんすこう』を知らない人には、その魅力が伝わらない。一方、『Payke』でバーコードを読み込むと、商品の説明や食べ方、多言語でのレビュー、商品の魅力を伝えることができる」と話す。

▲Payke 古田奎輔CEO

<インバウンドデータから越境ECの売れ筋を分析>

BEENOSの直井CEOは、「Paykeはインバウンドのお客さまがどんな商品に関心を持っているかをデータとして持っている。その方々がわれわれのサービスを通じて、越境ECで自国から何を買っているのかなというのを突き合わせできる。インバウンドで来ていただいた方々が、『旅アト』でどのような消費をしているのかを把握ができ、それを後押しすることができれば、インバウンドマーケットを活性化し、越境ECも伸ばすことができる」と話す。

Paykeの古田CEOは、「インバウンドで人気だが、海外では流通していない商品がある。今はまだ越境ECで販売されていないが、販売すれば人気になる商品を洗い出すことができる」と話す。

Paykeのアプリは訪日前にダウンロードされることも多い。「旅マエで商品を知ってもらい、旅ナカでショッピングを楽しんでもらう。BEENOSのアセットを生かすことで、帰国後に越境ECによるリピート購入を促す導線を作ることができる。旅マエから旅アトまでシームレスにつなぐことで、日本の消費をさらに喚起できる」(古田CEO)と話す。

BEENOSとPaykeはそれぞれが持つデータを生かし、日本のメーカーや小売企業などのインバウンド対策や越境ECの販売戦略を支援する。販促面でお互いのサービスを活用した協業も検討する。お互いのクライアントに対して双方のソリューションの紹介も行う予定だ。

BEENOSの直井CEOは、「観光を通じて日本を知ってもらい、そこから日本の商品の消費が継続的に起こる状況を作ることができれば、インバウンドが日本の消費拡大の一番効果的なフックになる。インバウンドと越境ECのつながりを作りたいと長年、考えてきた。Paykeと組むことでそのつながりを実現できることを示し、連動した取り組みを加速させていきたい」と意気込みを語った。