≪同社初の生え抜きトップ≫ 山下通郎・石油資源開発社長「強いJAPEXをつくる!」

市況や外部環境に左右されにくい企業体質を

 ─ 今年4月に初の生え抜き社長となった山下さんですが、改めて、社長就任の抱負を聞かせてもらえますか。

 山下 4月1日に社員に対して申し上げたことと同じになりますが、わたしが最初に申し上げたことは強い会社、「強いJAPEX」をつくっていこうということです。足元で原油価格が高止まりしていますし、為替もずっと円安に振れてきましたので、ここ3年ぐらい、当社は非常に業績が良いんですね。

【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅

 とはいえ、外部環境に助けられている面が少なからずあるのも事実でして、今後は、市況や外部環境に左右されにくい企業体質をつくっていこうと考えています。

 当社は2022年に『JAPEX経営計画2022―2030』を策定しています。収益力の強化と、2030年以降を見据えた事業基盤の構築を図っていこうということで、従来のような石油・天然ガスのE&P(探鉱・開発・生産)に加えて、再生可能エネルギーやカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)関連などにも、バランスよく投資をしていくことで、市況の変動を受けにくい体質をつくっていきたいと思います。

 ─ やはり、今後は再エネへの投資にも注力していくことになりますね。

 山下 はい。再エネを重視し、その拡大を図る政策の方向性に疑問の余地はありませんし、当社にとっても重要な取り組み課題です。ただし、再エネ企業買収に数千億円が投じられる最近の状況を見ていると、過当競争になっているような気もします。ひとつの案件に過大投資をしたり、無理をして再エネに投資したりするというのではなく、投資のバランスと採算性を考えながらやっていくつもりです。

 ですから、基本的な方針としては、祖業である石油・天然ガスのE&Pに当面は重きを置かざるを得ません。その中で、再エネ分野の事業機会を常に追い求めていく。当然ですが、それにはきちんとリターンが取れる案件でないと投資はしないということで、この辺は適宜バランスを見ながら、ということになると思います。

 ─ なるほど。やはり、基本は石油・天然ガスの開発が中心になると。

 山下 結果として、当面はそうなると思います。

 当社は米国とヨーロッパの北海を重点地区にしています。新たに投資をするにしても、マネタイズするまでに、あまりに長い時間のかかる案件は座礁資産のリスクを伴いますので、基本的には、なるべく早めにキャッシュフローを生むような資産が理想だと考えています。

 そうなると、どうしても、インフラが整っていて、事業や地政学的なリスクの低いところへの投資が中心になってきますので、米国や欧州が中心になるということですね。

続きは本誌で