パナソニック ホールディングスのグループ会社パナソニック 空質空調社と、ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーエネルギーシステムは2024年8月30日、業務用のガスヒートポンプエアコン(GHP)の室外機を開発製造する合弁会社を設立することで合意したと発表した。新会社は2025年4月に設立され、2026年1月に製品の生産を開始する予定だとしている。
GHPはガスエンジンを動力源としてコンプレッサーを駆動する業務用空調機で、電気式ヒートポンプエアコンに比べ、消費電力が約10分の1と少なく、ランニングコストも削減できる特徴を持ち、特に夏場の電力ピークカットに大きく貢献する。
パナソニックは1985年に業界に先駆けてGHP第1号機の開発・製造を行い、ヤンマーエネルギーシステムも同時期にGHP事業に参入。2023年までの両社の累計出荷実績は能力で約2900万kW、台数で約66.6万台と、ともに業界トップクラスのメーカーとして技術、ノウハウを蓄積し、ガス空調の発展に貢献してきたとする。
両社は2022年12月より、カーボンニュートラルに向けた環境経営の観点での連携としてマイクロコージェネレーションシステムの廃熱を業務用空調機である吸収式冷凍機に活用することで、高いエネルギー効率を実現した「分散型エネルギー事業」で協業を行ってきたこともあり、そうした流れを汲んで今回はGHPにて大きなシェアを持っている両社が、それぞれの強みや特徴を補完することでシナジーを創出していくことを目標に合弁会社設立の合意に至った。
パナソニックは、室内機含めた空調システムの開発や冷媒回路、制御基板などの技術において強みを持っている。一方のヤンマーエネルギーシステムは多用途なエンジンや駆動技術の開発、ガスエンジンに強みを持っている。今後は、この双方の技術やノウハウを生かしてより良い製品の開発を目指していくとする。
合弁会社の社名は「パナソニック・ヤンマーGHP開発製造株式会社」。資本金は9000万円で、資本比率はパナソニックが51%、ヤンマーが49%だという。GHPを製造するパナソニックの群馬工場(群馬県大泉町)と、ヤンマーエネルギーシステムの岡山工場(岡山市東区)が拠点となり、本社は群馬工場内に設置するとしている。
東西2拠点化にすることでBCPと物流費抑制が20%削減できるとともに、設計共通化で開発のリードタイムが35%短縮、内製部品の使用量は2倍と統合によるシナジーも十分にあるとのこと。
なお、両社の販売やサービスに関しては従来と変わらず、それぞれで事業を継続していくとしている。両社は、GHPや分散型エネルギー事業を通じて、顧客の省エネルギー化や脱炭素化のニーズに応えていき、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとするほか、今後は空調に欠かせない冷媒において、低GWP(地球温暖化係数)冷媒への対応、2030年以降は水素対応や発電機能強化など、両社の強みを生かした製品の開発も検討していきたいとしている。