日本電信電話(以下、NTT)と東北大学は8月30日、東北大学の3GeV高輝度放射光施設(通称:ナノテラス)、災害科学 / 医療、ロボティクスと、NTTの人間拡張技術およびIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)を基盤として融合させた新たな価値創出を目指し、分野横断でのビジョン共有型共同研究を9月から開始することを発表した。

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共同研究の背景

両社はこれまで、2期6年間の共同研究を実施している。2018~2020年の第一期では、東日本大震災を経験した東北大学が持つ災害ビッグデータと、NTTが持つコミュニケーションサービス基盤技術を組み合わせ、安心もしくは安全が欠如した状態から、安心かつ安全な状態へ行動変容を実現する研究テーマに取り組んだ。

2021~2023年の第二期では、災害だけでなく地球や社会・地域を正確に捉えた上で未来を予測し、しなやかに行動する「超レジリエンス社会」の実現に向けて、共同研究テーマを創出した。

共同研究テーマ

ビジョン共有型の共同研究にあたり、両社は「社会や地域の課題を解決するため東北大学の強みとIOWNを融合させた新たな価値を創出すること」をビジョンに掲げて、2023年度後半よりテーマの検討を開始したという。

東北大学ならではの共同研究テーマを創出すべく、東北大学からは国際放射光イノベーション・スマート研究センター、サイバーサイエンスセンター、工学研究科、災害科学国際研究所など7組織、NTTグループからは研究機関だけではなく事業会社を交えた総勢30人でワークショップを開催し、3つの共同研究テーマを創出した。

テーマAでは、サステナブルな地域社会を実現する自律分散協調リモートワールドに向け、災害科学とリモートワールドで実現する「地域の命を守るメタバース空間のヘルスケアサービス」について研究する。

テーマBでは、ロボティクスによる個と組織のヒューマン・エンパワーメントについて、ロボティクスとサイバネティックス技術で実現する「マルチモダリティ表現技術とロボットを活用した次世代技能遠隔学習」を研究する。

テーマCでは、さまざまな世界とフュージョンして「他」を体験できる超感覚ネットワークについて、ナノテラスと五感情報通信技術で実現する「体験できないこと、なれないものになることができるマルチモーダル五感変換復元」について研究する。