米国国立科学財団(NSF)と、米国商務省(DOC)傘下の国立標準技術研究所(NIST)内に設置された商務省の執行機関の1つである「CHIPS for America研究開発オフィス(CRDO)」は7月24日(米国時間)、半導体業界のさまざまな職種の将来の労働者を訓練する新しい取り組みに共同で投資する覚書に署名したと発表した。

その第1弾としてNSFとDOCは共同で公開情報要求(Request for Information:RFI)を発行し、今後の新たな取り組みに関する半導体業界関係者からの意見の公募を開始した。

今回の覚書は、National Network for Microelectronics Education(マイクロエレクトロニクス教育のための全国ネットワーク)の構築を目指したもので、同ネットワークは、米国全土の才能ある人材に魅力的なカリキュラム、教材、体験の機会を提供する一連の地域コンソーシアムおよびその他の取り組みを監督するNetwork Coordination Hub(ネットワーク調整ハブ)によって主導される。

NSFとDOCが3000万ドルをNetwork Coordination Hubに拠出

Network Coordination Hubは、米国全土の半導体業界を支援する教育とトレーニングを提供する取り組みを調整する役割を担う存在で、NSFとDOCは共同で、今回の覚書を通じて今後5年間で最大3000万ドルの資金を同ハブに提供し、高等教育機関や労働組合などとも協力する形で、効果的で拡張可能なカリキュラムとベストプラクティスを採用した教育デジタルリソースの共有に向けた一般向けデジタルポータルの確立を進めるとしている。また、半導体業界でのキャリアに対する認識を高めるためのコミュニケーションキャンペーンも実施し、半導体業界の教育者とトレーナーに技術支援を提供する予定だともしている。

同ハブに加えて、より広範なマイクロエレクトロニクス教育のための全国ネットワークは、国立半導体技術センター(NSTC)のWorkforce Center of ExcellenceおよびホワイトハウスのWorkforce Hubと連携する補完した関係性を構築することを目指すという。NSTC Workforce Center of Excellence(CoE)は当初、DOCによって資金提供され、NSTCを運営するために設立された新しい非営利団体Natcastによって運営される。

このCoEが、業界関係者を集めて労働力の課題をより深く理解し、解決策を特定するための主要なフォーラムとなり、同ハブを含む全国ネットワークが、全国の組織を通じてこれらのベストプラクティスの普及を担い、それぞれの地域の状況や関係者、機関に適応させるためのプラットフォームとなることが期待されている。一方、ホワイトハウスのWorkforce Hubは、バイデン・ハリス政権の「アメリカへの投資」政策に基づき、米国内への民間投資と公共投資を促進させ、半導体産業を含む高給の雇用を創出している主要地域にこれらのベストプラクティスを展開する取り組みを進めるという。

米国民への投資を打ち出す商務省

ジーナ・レモンド米国商務長官は「我々は半導体製造や研究開発に投資するだけでなく、米国民に投資している。今回の新たな取り組みは、全国の学生や労働者が、半導体業界で必要とされる教育や訓練を受けられるように支援するもので、これは熟練した半導体労働力と半導体製造における米国のリーダーシップに投資するということだ」と述べている。