TrendForceによると、エンタープライズ市場におけるAIを中心としたサーバインフラストラクチャへの投資が継続しており、エンタープライズSSDの需要が高まっている一方、コンシューマ市場の低迷が続いていること、ならびにNANDサプライヤが年後半にかけて増産に動いていることもあり、2024年第3四半期のNAND全体の契約価格の上昇率は前四半期比5~10%ほどとなると予測されるという。
2024年のNAND契約価格は、上半期は減産効果もあり力強い回復を見せたが、需給バランスの改善に伴う増産と小売り需要の低迷からウェハのスポット価格は下落している。一部のウェハ価格は現在、契約価格を20%以上下回っている状態で、今後、価格上昇がどこまで続くか、という疑問を呈する向きもある。
カテゴリ別に動向を見ると、クライアントSSDはノートPCがピークシーズンに入っているが、顧客の在庫行動が依然として保守的。PCの価格が2023年の値上げをまだ完全に吸収しきれていないことから、下半期の調達量が大きく伸びていないことが背景にあるとしている。この結果、サプライヤはクライアントSSDを200層以上に向上させるなど生産能力の増加を図っているものの、需要の低迷により価格の上昇は抑制され続けている。さらに、QLC製品とTLC製品の間にもかなりの価格差があるため、より多くのPC購入者がQLCを選択するなど、価格競争が激化しており、第3四半期のクライアントSSDの価格上昇率は3〜8%に抑えられると予想されるという。
エンタープライズSSDは、AIサーバの導入拡大もあり、第3四半期もサーバOEMからの受注が増加していることなどを背景に、契約価格の上昇率は同15~20%と大幅な上昇を予想している。
eMMCは、第3四半期は大きな需要牽引役が欠けているものの、モジュールメーカー各社は価格の引き上げを推進する方向で調整を進めている模様で、契約価格についてはほぼ横ばいとなり、価格上昇率は最小限に留まる予想だという。
UFSについては、スマホOEMの在庫レベルが十分であり、在庫も徐々に減少、モジュールメーカーによる供給オプションも増加していることなどから、モジュールメーカーは値上げを狙っており、サプライヤも値上げが進むことが期待されるが、バイヤー側の在庫水準はまだ高く、市場の需要が弱含んでいることを踏まえると、価格上昇率は同3~8%程度に留まると予想している。