Ansysは、電気自動車(EV)のコンポーネントエンジニアとシステムエンジニア向けに、モデルベースのアプローチを通じてEVパワートレインのコンセプト設計に共同で取り組むことで、EVの航続距離とバッテリの充電時間の改善、開発コストの削減、市場投入までの時間の短縮に向けた設計の早期決定容易化を提供するSaaS型クラウドネイティブ製品「Ansys ConceptEV」を発表した。

EVパワートレインは、バッテリ、インバータ、モータ、トランスミッションなどの中核機能部品で構成される複雑なシステムで、効率的なパワートレイン開発のためには、コンポーネントを個別に開発するのではなく、システムの一部として設計および最適化する必要がある。同ソリューションは、コンポーネント設計をそうしたシステムレベルの要件にリンクさせることを可能としたもので、仕様およびコンポーネントの設計変更を実行しても、トレーサビリティが確保されているため、最適なパワートレイン設計のためのシステムのトレードオフを迅速に評価することができ、定量化することができるという。

また、モデルベースのアプローチにより、要件に対するシステム全体の迅速な解析が容易になり、エラーが減少し、時間とコストが節約され、開発プロセスの早い段階でよりスマートな意思決定が可能になるともしている。

なお、Ansysでは、ConceptEVについて、顧客がよりロバストでデータ主導の結果を追求できるように開発されたソリューションであり、イノベーションを促進するためのコラボレーションと知識の共有を促進するオープンな環境で、部門を超えたチームの結集を可能とするものだと説明している。

  • WLTPドライブサイクルにおけるデュアルモータEVパワートレインのパフォーマンスをシミュレーションした様子

    国際基準であるWLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Text Procedure)ドライブサイクルにおけるデュアルモータEVパワートレインのパフォーマンスをシミュレーションした様子。予測される航続距離とエネルギー効率が示されている (提供:Ansys)