大日本印刷(DNP)は6月25日、食品・化粧品・医療品向け包装材として、材料や加工方法を改良することでパルプ回収率85%以上を有する紙製ハイバリアモノマテリアル(単一素材)パッケージを開発したことを発表した。
近年、気候変動や地球温暖化、プラスチックによる海洋汚染といった環境課題の解決に向け、国内外の大手メーカーや小売流通業は商品を開発・提供する際、石油由来から植物由来の材料への切り替えを行ったり、堆肥化可能な生分解性の材料を使用するパッケージの採用による環境負荷の低減に努めるようになっている。例えば、欧米では紙製パッケージのリサイクル性の1つの指標としてパルプ回収率を80%以上とするなど、資源としての再生効果の向上を進めているという。
そうした状況を踏まえDNPも、リデュース、リユース、リサイクルの3Rに加えて、Renewable(再生可能資源への代替)を基本に、環境負荷を低減し、持続可能な社会を実現していくため「CO2の削減」「資源の循環」「自然環境の保全」の3つの価値を社会に提供する製品・サービス「GREEN PACKAGING」の一環として「DNP環境配慮パッケージング」の製品ラインアップの拡充に努めており、2022年には紙の単一素材(モノマテリアル)にすることによって「リサイクルしやすさ」を高めると共に、酸素や水蒸気の透過を防ぐ高いバリア性を持った環境配慮型のパッケージ用紙シートを開発、サンプルを提供してきた。
今回の取り組みは、その2022年に開発された紙製モノマテリアルシートの改良として、ハイバリア性を有する紙製包材の採用や加工方法の工夫などにより、ハイバリア機能を維持したままでパルプ回収率を85%以上とリサイクル性を高めた製品とすることに成功。また、自然再生可能資源である紙の使用量を増やす一方で、枯渇資源である石油由来の材料の利用を減らすことにつながり、サプライチェーン全体でのCO2の排出量削減にも貢献するほか、ハイバリア機能によるフードロス、在庫の破棄削減にもつなげることが期待されるとしている。
なお、DNPは今後、今回開発した紙製ハイバリアモノマテリアルシートを食品・化粧品・医療品のメーカーに提供していくとしているほか、独自のコンバーティング技術を活かして、バリア性などの機能を高めた環境配慮製品・サービスのラインアップを拡充していくことで、環境負荷低減の需要が高まる国内外の市場のニーズに対応していきたいとしている。