ザインエレクトロニクスは6月17日、これまで同社が培ってきた高速情報伝送技術を進化させる形で、データセンターなどで活用が期待される光半導体による高速情報伝送ソリューションの提供を目指すことを表明した。
伝送速度の向上に伴い、PCI Expressでの光信号による通信が注目されるようになりつつある。そうした次世代PCI Expressの光伝送に向けて現在、シリコンフォトニクス技術を活用した方式や、DSPを活用したVCSELドライバ方式などが検討されるようになっているが、シリコンフォトニクスでは外部変調レーザーの消費電力が大きいという問題があり、VCSELドライバ方式についてもDSPの消費電力が大きいことに加え、DSPのデジタル処理に伴う遅延も生じるという課題があるという。
こうした課題に対し、同社では自社が築いてきたアナログ技術の進化によるVCSELドライバ方式でありながらDSPによるデジタル処理を不要とする取り組みを進め、光通信モジュール内だけでなくエンドポイントのASICからもDSPを完全に削除した上で信号復元が可能なソリューションを提供していくとしており、これにより他方式に比べて、50%以上の消費電力削減が可能となるとするほか、遅延時間も90%程度削減できるとしており、データセンター内におけるデータ伝送時の電力削減とAI処理速度向上が期待されるとする。
なお、同社では第1弾として、データサーバのデータ伝送の次世代標準であるPCI Express 6.0に対応したマルチモードAOC(Active Optical Cable)ソリューションを立ち上げるとしているほか、第2弾として次々世代のPCI Express 7.0に対応したソリューションも立ち上げも進め、それぞれデータセンター市場に投入していく計画としている。