台湾TrendForceによると、2024年第1四半期のDRAM市場は前四半期比5.1%増の183億5000万ドルとなった模様である。

Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyの大手3社ともにオフシーズンの影響を受けて出荷量が減少したものの、在庫レベルの健全化も相まって、2023年第4四半期より続く大口契約価格の上昇傾向を維持できたことが大きな要因だという。

また、モバイルDRAMは、中国製スマートフォン(スマホ)の好調な販売により、すべてのアプリケーションの中で最も高い価格上昇を記録したとする一方、コンシューマDRAMは、メーカーの在庫処分がまだ継続しているため、価格上昇率はすべてのアプリケーションの中で最も低くなったとする。

TrendForceでは、消費者の需要が依然として弱いものの、主要サプライヤの出荷数量は第2四半期に季節的要因により増加することを予想しており、中でも地震の影響による不確実性を踏まえて購買姿勢が変化しているため、一部のPC OEMは当初の予想よりも上昇した取引価格にも同意を始めており、最終的なDRAM契約価格は同13~18%ほどの上昇と予測している。

  • 2024年第1四半期の自社ブランドDRAMサプライヤの売上高ランキング

    2024年第1四半期の自社ブランドDRAMサプライヤの売上高ランキング (出所:TrendForce)

DRAMメーカー各社の動向を見ると、Samsung Electronicsの2024年第1四半期の売上高は前四半期比1.3%増の80億5000万ドルで、シェアトップの維持している。平均販売価格を約20%引き上げる戦略を採用しており、これにより出荷数量の減少を相殺することに成功している。

業界2位のSK hynixの売上高は同2.6%増の57億ドル。同社の平均販売価格は約20%上昇しており、出荷数量の減少を相殺することに成功している。

3位のMicronの売上高は同17.8%増の39億5000万ドル。平均販売価格は約23%の上昇となった一方、出荷数量は4~5%の減少にとどまったことが2桁成長の達成に寄与した。この好調な業績は積極的な価格戦略に加え、米国の大手顧客からの注文による堅調なサーバDRAMの出荷によるところが大きいという。

なお、大手3社以外の動向としては、台湾Nanyaの出荷数量は、価格上昇に伴う在庫補充需要の停滞と消費者向けDRAM需要の鈍化により1桁台前半の増加に留まったものの、平均販売価格が1桁台後半の伸びを示した結果、売上高は同10.5%増の3億200万ドルとなった。また、Winbondは契約価格の引き上げを行わなかったものの、顧客の先取り在庫による出荷好調のおかげもあり、売上高は同21.6%増の1億6200万ドルを記録。Powerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)はホリデーシーズンに伴う生産稼働日の減少などもあり、売上高は同28.2%減の2800万ドルに留まっている。