ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは、6月4日から7日まで東京ビッグサイトで開催されている世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2024」において、カクテルバー空間におけるゴム人工筋肉を使ったソフトロボットハンド「TETOTE」を搭載したロボットと人間の協働作業による、カクテルを作るところから、提供までの一連のデモンストレーションを披露している。
ブリヂストンでは、同社が長年に渡り積み上げてきたタイヤやホースの開発・生産におけるノウハウを応用活用し、「ヒトとロボットがあたりまえに協働している世界」を実現すること、ならびに「すべての人の生活を支える」を理念にソフトロボティクス事業に挑戦している。
その取り組みの中でゴム人工筋肉という技術を活用し、ソフトロボットハンド「TETOTE」を開発。ゴム人工筋肉は、柔軟性や耐衝撃性、軽量で高出力といったさまざまな特徴を有しており、2023年に開催されたFOOMAにて初めてプロトタイプとして披露された。
このゴム人工筋肉はロボットの「指」となる部分に搭載されており、さまざまな形・硬さ・重さのモノを"いい感じ"につかむ動作を実現する。例えば、大福など強く持つと形が崩れてしまうものでも繊細な動きで"いい感じ"に掴むことが可能で、さまざまなシーンで汎用的に活用できるとしていた。
TETOTEは従来BtoBでの利用に向けて開発され、倉庫や工場などで試験的に活用されているが、BtoC向けにも事業を拡大することで、多くの人の生活を支えられるのではないかとの思いから実証実験を進めているという。
今回の同社ブースでは、食品製造に関する展示会ということで、個々人のその日の気分や感情をカメラが読み取り、その気分に合わせた曲とバー空間が再現され、TETOTEが搭載されたロボットを含むロボット2台が気分にあったカクテルをバーテンダーと共に作って提供してくれる(実際に飲むことはできない)というデモンストレーションで、最先端のAI技術とやわらかいロボットによる「少し先の未来の味わい体験」ができるようになっていた。
デモでは2台のロボットのうちの1台のロボットがお酒の調合とシェイカー振り(シェイク)を行い、バーテンダーがカップにそれを移し、TETOTEが搭載されたロボットが果物を入れた後に対象者に提供してくれるという流れを体験できる。ロボットが柔軟に動いており、バーテンダーとロボットの協働作業がスムーズだったのがとても印象的であった。
「TETOTE」は食品衛生法に適合しており、丸洗いも可能。また、柔らかいため安全性も高く食品製造業界でも活躍できる技術だとブース担当者は強調していたほか、今回はバー空間による活用であったが、TETOTEの技術はさまざまな分野で応用活用できることから、引き続き新たな事業への展開を図っていきたいとしていた。
なお、6月4日(火)から16日(日)まで、渋谷区にある体験型ストア「b8ta Tokyo - Shibuya」にて、「TETOTE」と「TETOTE no NAKAMA」であるDoosan Roboticsの「Mix Master Moodie」を組み合わせたロボットたちと、本物レモンスライス入りの「未来のレモンサワー」を乾杯できる試飲イベントも開催されている。気になる方は「TETOTE」と乾杯しにいくのはいかがだろうか。