TrendForceによると、AIサーバによるエンタープライズSSDの採用が2月より加速したほか、PCおよびスマートフォン(スマホ)サプライヤが、価格上昇懸念から在庫レベルを引き上げた結果、2024年第1四半期はNAND価格と出荷数量ともに上昇し、同四半期の売上高は前四半期比28.1%増の147億1000万ドルとなったという。

また、サプライヤの売り上げ順位別に動向を見ると、トップのSamsung Electronicsは、バイヤーの在庫積み増しとエンタープライズSSDの伸びにより、同28.6%増の54億ドルとしている。第2四半期についてはコンシューマ向けの見通しは慎重なものの、契約価格の上昇により売上高を同20%以上の増加とTrendForceでは予測している。

2位はSKグループで、スマホとサーバの両方ともに受注が好調であり、売上高は同31.9%増の32億7000万ドルとなった。子会社Solidigm独自のフローティングゲートQLCアーキテクチャがエンタープライズSSDの需要を支えており、TrendForceでは第2四半期の売上高も同20%増程度を予想している。3位はキオクシアで、前四半期からの減産影響を受けた結果、出荷量は同7%増と控えめなものの、価格上昇を追い風に売上高は同26.3%増の18億2000万ドルとしている。第2四半期も供給ビット数、価格ともに上昇する見込みから、売上高も同20%の増加とTrendForceでは予測している。

4位にはMicron TechnologyがWestern Digitalを僅差ながら追い抜く形でランクイン。価格を他社よりもわずかに下げることで出荷量を伸ばすことに成功した結果、売上高は同51.2%増の17億2000万ドルと全社中トップの成長率を見せた。

Micronと入れ替わりとなった5位のWestern Digitalは、2月以降の小売市場の需要減退の影響が、契約価格の上昇を相殺する形となり、売上高は同2.4%増の17億1000万ドルに留まった。同社は将来の成長に向けてエンタープライズSSDの開発強化を予定しているが、当該分野は検証に時間がかかるため、短期的な出荷の伸びは限定的と見られ、TrendForceでは第2四半期の売上高は横ばいと見ている。

なお、PCおよびスマホのカスタマは第2四半期のNAND在庫のレベルを引き上げているが、最終市場の需要は予想を下回ったままであるため、各メーカーはNANDの購入について保守的な動きを見せている一方、エンタープライズSSDの注文が急速に伸びており、結果としてNAND平均販売価格は15%ほど上昇しており、TrendForceでも第2四半期のNAND市場は同約10%増との予測を示している。

  • 自社ブランドNANDフラッシュメモリメーカーの2024年第1四半期売上高ランキング

    自社ブランドNANDフラッシュメモリメーカーの2024年第1四半期売上高ランキング (出所:TrendForce, 2024年5月)