三菱電機は5月9日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)より月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」向けの宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注したことを発表した。

  • 月周回有人拠点「ゲートウェイ」のイメージ

    月周回有人拠点「ゲートウェイ」のイメージ (C)JAXA

日本の参加している米国が主導する月面探査プログラム「アルテミス計画(Artemis Program)」において、日本はゲートウェイ居住棟へのバッテリーなどの機器の提供を予定している。一方の三菱電機は、宇宙用リチウムイオンバッテリーとして、宇宙ステーション補給器「こうのとり(HTV)」の後継機である無人補給船「HTV-X」の開発・製造で培った有人安全要求を満たしつつ、高い性能を実現してきた実績を有するほか、それ以外にも国内外の複数の衛星での納入実績ならびに、それらすべてが正常に運用されていることなど、高い信頼性も有しており、今回の受注はそれらの取り組みが評価された結果だと同社では説明している。

アルテミス計画における同社宇宙用リチウムイオンバッテリーの受注は、居住・ロジスティクス拠点「Habitation and Logistics Outpost(HALO)」向け、国際居住棟「International Habitation Module(I-Hab)」向けに続いて3例目となり、これまで日本が担当したすべての宇宙用リチウムイオンバッテリーの製造を担当することとなっている。

今回、受注したリチウムイオンバッテリーの仕様は、外形寸法が623mm×245mm×359mmで、重量61.4kg。190Ahリチウムイオンバッテリーセルおよび搭載部品の故障に対応するためのバイパススイッチを装備しており、設計寿命は15年以上としている。

  • ゲートウェイ向けリチウムイオンバッテリーの外観

    ゲートウェイ向けリチウムイオンバッテリーの外観

なお同社は米Maxar Space Systemsが開発を担当しているゲートウェイの電気・推進エレメント「Power and Propulsion Element(PPE)」向けにも、リチウムイオンバッテリーセルを受注、納入実績を有しており、今後も長年にわたって培ってきた宇宙用電源機器技術を最大限に活用し、アルテミス計画に貢献していくとしている。