Appleは5月7日(米国時間)、iPad Pro向け次世代SoCとして第2世代3nmプロセスを採用した「M4」を発表した。Appleは自社で半導体を製造しているわけではなくTSMCに製造委託を行っており、ここでいう第2世代3nmプロセスは、TSMCの「N3E」プロセスのことを指しているものと思われる。

  • M4のイメージ

    M4のイメージ (出所:Apple、以下すべて同様)

「Apple Silicon」シリーズの最新版に位置づけられる同SoCは、最大で4つの高性能コアと6つの高効率コアの合計10 CPUコアで構成。高性能コアには、幅広いデコードエンジンと実行エンジンを搭載したほか、高効率コアにはより深い実行エンジンを搭載し、いずれにも強化された次世代の機械学習(ML)アクセラレータを搭載することで、前世代iPad Proに搭載されていたSoC「M2」と比べて最大1.5倍のパフォーマンス向上を実現したとする。

  • CPUコアは高性能コア×4、高効率コア×6の10コア構成

    CPUコアは高性能コア×4、高効率コア×6の10コア構成。M2比で最大1.5倍高速なCPUパフォーマンスを提供するという

また、「M3」のグラフィックアーキテクチャベースに設計された新たな10コアGPUも搭載。ローカルメモリをリアルタイムで動的に割り当てることで、GPUの平均使用率を高める「Dynamic Caching」を採用することで、負荷の高いアプリケーションやゲームでも高いパフォーマンスを発揮することを可能としたとする。さらに、ハードウェアによるレイトレーシングにも対応したほか、メッシュシェーディングにも対応。ジオメトリ処理の能力と効率を高めて、ゲームや高いグラフィックス描画能力を必要とするアプリでも複雑なシーンをリアルに表現することが可能になったとする。加えて、レンダリングパフォーマンスについても、M2比で最大4倍に高速化したとしており、CPUおよびGPUの組み合わせにより、M2と同等のパフォーマンスを半分の電力で実現すると同社では説明しているほか、WindowsノートPC向けCPUと比べると同等のパフォーマンスを4分の1の電力で実現できるともしている。

  • 最大10コアで構成されるGPU

    最大10コアで構成されるGPU。プロ向けレンダリング速度はM2比で最大4倍高速だとしている

このほか、最大で毎秒38兆回の演算処理が可能な新たなNeural Engineも16コア搭載。この演算性能は同社が初めてNeural Engineを搭載したA11 Bionicのものと比べて60倍後続であり、CPUに搭載されている次世代MLアクセラレータ、GPU、ユニファイドメモリと組み合わせることで高いAI性能を提供することを可能とするとしている。

  • 16コアで構成されるNeural Engine

    16コアで構成されるNeural Engine。毎秒38兆回の演算処理を可能とする

加えて、メディアエンジンとしても一般的なH.264、HEVC、ProResなどのビデオコーデックへの対応に加え、AV1ハードウェアアクセラレーションにも対応したとしている。

  • ディスプレイエンジンも刷新

    メディアエンジンのほか、ディスプレイエンジンも刷新。2枚の有機EL(OLED)パネルを使用して両方からの光を組み合わせるタンデムOLEDテクノロジーを採用したUltra Retina XDRディスプレイへの描画を実現した

なお、M4搭載iPad Proは11インチモデルと13インチモデルの2種類が用意されており、11インチモデルは厚さ5.3mmで重量は450g未満を実現。13インチモデルはさらに薄い厚さ5.1mmを実現。シルバーとスペースブラックの2色が用意され、256GB、512GB、1TB、2TBの4種類のストレージ容量が用意されている。