宇宙利用の重要性が急速に高まり、官民を挙げた宇宙開発が進んでいる中、東京ビッグサイトでは4月24日から26日まで、宇宙ビジネスに関するすべてが集まる展示会「SPEXA -Space Business Expo-」が開催されている。今回が初開催となる同展示会では、ロケットや人工衛星などの設計・開発・製造支援、宇宙空間や衛星データの利活用、さらにその他の宇宙関連サービスなど、さまざまな角度から宇宙ビジネスに携わる企業が出展し、新たな事業の種が生まれる場となっている。

SAR(合成開口レーダ)衛星の開発・運用と衛星データ提供サービスを行う宇宙スタートアップのSynspective(シンスペクティブ)も、SPEXAに出展。同社が開発する小型SAR衛星「StriX」の模型を展示するとともに、サービス内容を紹介している。

  • のSynspectiveブース

    SPEXAでのSynspectiveブースの様子

自社4機目の衛星からの画像取得にも成功したSynspective

Synspectiveは、時間帯や天候を問わず地表の形状を撮像できるSAR衛星の開発・打ち上げ、およびその撮影データの提供やそれらを活用したソリューションサービスを生業とする。同社はこれまで4機の衛星打ち上げに成功しており、その4機目である「StriX-3」は、3月13日にニュージーランドより打ち上げられ軌道投入が行われたばかり。4月25日には、同衛星が撮影した画像の取得にも成功し、ポーランドやデンマークの上空から捉えた画像が公開されている。

  • SAR衛星「StriX」の模型

    Synspectiveが開発するSAR衛星「StriX」の模型

Synspectiveは今後、衛星の開発・運用を加速させると共に、データ活用サービスの強化にも着手していくといい、撮影画像の提供に加え、データサイエンスや機械学習を活用したデータ解析までをサービス化していくことを目指しているという。

このように、ハードウェア(人工衛星開発)とソフトウェア(衛星データ活用)の両面で宇宙ビジネスを展開する同社の元には、SPEXAでもさまざまな関心が寄せられているとのこと。どちらの領域についても興味を持つ来場者が多いといい、新たなビジネスの萌芽となる可能性もある。

中央林間の新たな衛星量産拠点は秋ごろ本格稼働へ

なおSynspectiveはSAR衛星の量産化に向け、神奈川県の物流拠点「SOSiLA中央林間」に自社製造拠点を新設。同拠点は4月から稼働を開始しており、従来生産設備として借り受けていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)のつくば拠点から、設備や人材の移行を進めているという。

  • 「SOSiLA中央林間」

    SynspectiveがSAR衛星量産拠点として利用する「SOSiLA中央林間」の外観(出所:Synspective)

同社担当者によると、新拠点の本格稼働は2024年秋ごろを想定しており、同年末には前拠点からの撤退となる見込みとのこと。また衛星開発体制の強化を見据えて人材獲得も行っているといい、宇宙関連企業の拠点が集まる神奈川県での宇宙人材確保に向けて、さまざまな取り組みを進めていくとしている。