TSMCが4月18日、2024年第1四半期の決算発表を行った。
それによると、売上高は既報の通り、前年同期比16.5%増の5926億4000万NTドルと、事前ガイダンスの上限にほぼ達する勢いであったという。また、純利益も同8.9%増の2254億9000万NTドルとなり、4四半期ぶりの増収増益となった。
売上高、純利益ともに四半期別の過去最高値を更新することはなかったが、第1四半期の値としては過去最高を更新することとなった。またドルベースで見ると、売上高は同12.9%増の188億7000万ドルとなっている。押し上げ要因としてNVIDIA向けの生成AI半導体需要の高まりがある模様で、今後のさらなるAI半導体需要の増加により、TSMCの業績も上昇していくと見る台湾半導体業界関係者も多いという。
7nm以下の先端プロセスの売り上げ比率が全体の65%に到達
第1四半期の売上高をプロセス別に見ると、3nmが9%、5nmが37%、7nmが19%となり、7nmプロセス以下とされる先端プロセスで全体の65%を占めている。ただし、3nmの比率は前四半期比で6ポイント減、代わりに5nmが同2ポイント増と、需要の変化が若干だがみられている。
また、売上高を適用分野別に見ると、HPCが46%、スマートフォン(スマホ)が38%で、この2分野だけで全体の84%を占めている。ただし、前四半期比でHPCの比率は3ポイント増、スマホ向けは5ポイント減となっており、前期比で売上高を見ると、スマホ向けが16%減となった一方、HPCは同3%増としている。
売上高比率を国・地域別で見ると、北米が69%、アジア太平洋が12%、中国が9%、日本が6%、欧州・中東が4%となっている。中国の比率が1年前には15%あったが、徐々に割合を減らして行っている模様である。
TSMCのウェンデル・ホアン上級副社長兼最高財務責任者(CFO)は、「第1四半期の業績は、スマホの季節性による影響を受けたが、HPCからの需要の継続により一部相殺された。第2四半期に向けても業界をリードする3/5nm技術に対する旺盛な需要に支えられ、スマホの季節的要因による減収を一部相殺できると予想している」と述べているほか、4月3日に起きた地震について、地震発生から3日間で工場のオペレーションが完全に復旧したとして、業績への影響は限定的との見方を示している。
なお、TSMCでは2024年第2四半期のガイダンスとして、売上高が196億ドル~204億ドルの範囲と予測しており、中央値で比較すると、前四半期比6%増となる見込みである。また、為替レートを1ドル=32.3NTドルと仮定して計算すると、売上総利益率は51%~53%、営業利益率は40%~42%になると予測している。