レゾナックは3月28日、半導体材料の製造過程で生じる使用済みプラスチックを、分子レベルまで分解し、水素とCO2を取り出す独自のケミカルリサイクル技術を活用することで水素や炭酸ガスを生成し、半導体ガス原料として再利用に向けた検討を開始したことを発表した。

すでに2024年1月に第1回目となる実証実験を、同社の山崎事業所の感光性フィルムならびに、五井事業所のダイボンディングフィルムの製造過程から発生した使用済みプラスチックを用いて実施。使用済みプラスチック類などを主原料とした固形燃料である「RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)」に加工後、使用済みプラスチックをガス化できるガス化ケミカルリサイクルプラントである「川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)」で分子レベルまで分解、水素および炭酸ガスを生成。生成された水素はアンモニアの原料として、半導体製造用の高純度ガスをはじめ、繊維や接着剤の原料、窒素系肥料などに利用され、炭酸ガスは大気中に放出されることなく、ドライアイスや飲料用炭酸として再利用できることを確認したという。

今回の取り組みについて同社では、環境負荷やCO2排出量の削減に向けた取り組みを積極的に進め、製品ライフサイクル全体を見据えた環境配慮型の製品開発を推進してきた一環であり、今後も対象事業所を増やし、効果や事業性をさらに調査していく予定だとしている。

なお、半導体材料の使用済みプラスチックは現状、RPFに加工された後、焼却されているが、今回の実証実験を経て、使用済みプラスチックを焼却せずにガス化して活用することができるようになれば、CO2排出量の削減につながることが期待されると同社では説明している。

  • 半導体材料製造時に生じる使用済みプラスチックの処理の流れ

    現在の半導体材料製造時に生じる使用済みプラスチックの処理の流れと、KPRを活用してガス化した場合の処理の流れ (出所:レゾナック)