レゾナックがケモインフォマティクスアプリを自主開発

レゾナックは12月21日、ディープラーニング技術を用いたAIと膨大な蓄積データを用いる「ケモインフォマティクス」向けアプリケーションを自社で開発したこと、ならびにその運用を開始したことを発表した。

ケモインフォマティクスとは、主に分子や化合物レベルの情報を扱う「情報化学」と呼ばれる研究分野のことを指し、実験条件の提案や薬品、材料の分子探索などに利用され、過去の累積データをもとに作成した予測モデルを活用することで、未知の化合物の構造や物性などを予測することを可能とするもの。

  • ケモインフォマティクスアプリのイメージ図

    ケモインフォマティクスアプリのイメージ図 (出所:レゾナック)

従来、新規材料の開発では実験の初期段階で文献や経験に基づき、一定の予測を行ってから実験と測定を繰り返す手法が多く行われてきたが、量子化学計算によるシミュレーションやケモインフォマティクスを用いて予測する場合は、化合物の化学的特徴について部分構造の特性や物理化学的性質などを数値化してあらわした「記述子」の作成が必要になる。しかし、そうした記述子の作成には、量子化学計算やケモインフォマティクスの深い知識、経験が求められるため、実験者が誰でも行えるわけではないという課題があったとする。

ケモインフォマティクスアプリを活用することで得られるメリット

そこで、レゾナックの計算情報科学研究センターは、過去の材料開発から蓄積された計算や実験データを活用したディープラーニング技術を使いケモインフォマティクスアプリを開発。このアプリを活用することで、量子化学計算に比べて数千倍速く物性の予測を行えるようになったとしている。

加えて、ユーザーインタフェースはシンプルで直感的に扱えるWebアプリケーションを採用したため、ケモインフォマティクスの経験が浅い実験者でも、日常的に使う分子の描画方法を使い簡単に分子データを入力でき、実験者自身で物性の予測や材料の事前設計が可能になったともしている。

なお同社は、今後も情報科学技術を活用するしていくことで、半導体材料をはじめとしたスピードが求められる材料の開発期間短縮に取り組んでいくとしている。