半導体市場会社TechInsightsのセンサー半導体市場調査部門によると、2023年のスマートフォン(スマホ)向けCMOSイメージ センサ(CIS)市場規模は前年比微増となり140億ドル超となった模様である。
2023年上半期は需要の低迷とCISの過剰在庫の影響があったものの、下半期に向けて在庫の正常化と季節的な需要の高まりもあり、年末までに好調に転じたという。
同市場の明るいトピックスの1つとしては、ハイエンドスマホ向けを中心とした高解像度の大判CIS製品に対する需要の伸びで、同社の調査によると、特にマルチカメラアプリケーションでの使用において、小ピクセルピッチで多画素数品に対する需要が高いという。
また、企業別の売り上げランキングでは、ソニーセミコンダクタソリューションズが記録的な収益を背景に55%超のシェアを獲得しトップを堅持。2位はSamsung LSI、3位がOMNIVISIONと続いている。
ソニーは、ハイエンドスマホからの需要を背景とした2層トランジスタピクセルモバイルCIS製品の発売と、顧客認定により業績を伸ばすことに成功。Samsungは、ボリュームゾーンのCIS製品が需要減少のあおりを受けたが、50Mピクセルならびに200Mピクセル製品が出荷を伸ばした模様。OMNIVISIONは、中国のスマホOEM各社の低迷を受けたものの、下半期に入ると50Mピクセル品で顧客獲得に成功し、売り上げが上向きつつあるという。
2024年は前年比5%以上の成長を期待
TechInsightsでは、2024年の同市場について、スマホの新製品に向けた需要の高まりもあり、前年比で5%以上の伸びが期待されるとしている。
ソニーは現在、モバイル用イメージセンサブランド 「LYTIA」を50Mピクセル以上のスマホ向けに展開し、存在感を発揮している。追随するSamsungは、200MピクセルのHPシリーズおよび50MピクセルのGNシリーズを、より大きなフォーマットにアップデートし、高画素品でのシェア獲得を狙っている。そしてOMNIVISIONは、50Mピクセル品の競争力向上に加え、1型CIS製品の投入も予想されるという。
なお、TechInsightsによると、主要CISベンダ各社は現在、50Mピクセル品に注力しつつあり、トップ3社以外にもSK hynixやSmartSensも50Mピクセル品を中国のスマホOEMなどに提供しているほか、低画素CISの供給に強みを持つGalaxyCoreも、32MピクセルCIS製品を含む高解像度CISの供給を開始しており、間もなく50Mピクセル品のサンプル提供も開始する予定だという。スマホのカメラ搭載数が増加傾向にあり、CIS製品も出荷数が増加傾向にあり、各社ともに売り上げを伸ばす機会を狙っているようである。