楽天モバイルは、米AST SpaceMobile(AST)と共同で、衛星と携帯電話の直接通信によるモバイル・ブロードバンド通信サービスを日本国内で2026年内に提供を目指す計画を発表した。

山岳地帯や離島が多く、自然災害も多い日本では、空さえ見えればどこでも利用可能な低軌道衛星を活用した通信サービスへのニーズが高まっているという。令和6年1月1日に起こった能登半島地震では、復旧に向かうための道路が寸断され、応急復旧に時間がかかった実例もある一方、低軌道衛星による直接通信サービスであれば、そうした地上の状況に左右されることなく携帯電話を利用できるようになる。

楽天モバイルとASTはこれまで、2020年3月に締結した戦略的パートナーシップのもと、ASTの低軌道衛星と市販されているスマートフォン(スマホ)との直接通信を目指すプロジェクトを推進してきた。2022年9月にはASTによる低軌道試験衛星「BlueWalker 3」が打ち上げに成功、2023年4月には英Vodafone、米AT&Tを含めた4社協力のもと、低軌道衛星によるモバイル・ブロードバンド通信を使用した市販スマホ同士のエンドツーエンドでの音声通話試験を、テキサス州で実施、成功させるなど実績を積み重ねてきた。また楽天モバイルでは、日本における国内での試験実施に向けて、2022年11月に実験試験局免許の予備免許を取得済みだという。

現在までにASTによる試験では、市販スマホと衛星間での音声およびデータの5G接続に成功しているほか、14Mbpsのダウンロード速度の達成や、4Gビデオ通話および5Gセルラーブロードバンド接続にも成功しているとのことで、これらの通信速度は、基本的な音声やテキストメッセージの通信だけでなく、インターネットブラウジング、ファイルのダウンロード、メッセージングアプリの使用、ビデオのストリーミングなどを衛星と接続した市販スマホで可能とするものだという。

なお、楽天モバイルとASTは今後、災害時にもつながる通信サービスの提供と、山間部や離島を含む日本全域のエリアカバーを目指していくとしている。