経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月15日、廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラルを推進する取り組みの一環として「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」プロジェクトを開始すると発表した。
具体的には資源循環関連産業の企業に対して「廃棄物・資源循環分野向けのカーボンニュートラル実現プロジェクトを推進する具体策を始める」と公表しており、同プロジェクトは、NEDOが実施しているグリーンイノベーション基金事業の1つとして実施されるものだとしている。
この廃棄物・資源循環分野向けプロジェクトは2023年度から2030年度までの8年度間に、予算総額445億円の予定で進める見通し。実際には2023年度から2030年度までの各年度の獲得予算を積み上げて、最終的にプロジェクトの総額が決まる仕組みだ。
プロジェクトの取り組みとしては、「CO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理技術の開発」「高効率熱分解処理施設の大規模実証」「高効率なバイオメタン等転換技術の開発」の3テーマを中核に実施される計画だ。
“CO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理技術の開発”では、「化学吸収法をベースとしたCN型廃棄物焼却施設」(CNはカーボンニュートラルの略称)ならびに「酸素富化(燃焼)をベースとしたCN型廃棄物焼却施設」の研究開発が進められる。
また、“高効率熱分解処理施設の大規模実証”では、ガス化改質と微生物を用いたエタノール製造による廃棄物ケミカルリサイクル技術の研究開発を進める。そして“高効率なバイオメタン等転換技術の開発”では、高い水素溶解速度を持つリアクターの方式や形状探索に、安全運転のための自動計測制御システムの検討などを行う。現在、有効利用できていないバイオガス中のCO2を、分離せずにそのまま微生物反応によるバイオメタネーションでバイオメタン化し、これをガス利用する技術の開発にも取り組む計画だ。
なお、この廃棄物・資源循環分野向けプロジェクトを進める実施予定者・企業は、“化学吸収法をベースとしたCN型廃棄物焼却施設”における「CO2分離・回収を前提としたCN型廃棄物焼却処理全体システムの開発」を日鉄エンジニアリングが、“酸素富化(燃焼)をベースとしたCN型廃棄物焼却施設”における「CO2高濃度化廃棄物燃焼技術の開発」を日立造船が、“高効率熱分解処理施設の大規模実証”における「ガス化改質と微生物を用いたエタノール製造による廃棄物ケミカルリサイクル技術の開発」をJFEエンジニアリングと積水化学工業が、“高効率なバイオメタン等転換技術の開発”における「バイオメタネーション技術の開発」を水ingエンジニアリングモデルがそれぞれ担当することとなっている。