シャープ子会社のAIoTクラウドは、AIとIoTを活用し工場設備の巡回や点検業務の効率化を実現する遠隔監視サービス「WIZIoT(ウィジオ)」の提供を2024年2月1日から開始し、工場設備の遠隔監視サービス市場に本格参入した。
WIZIoTは、製造現場に設置されているメータなどの表示を、固定カメラやススマートフォン(スマホ)アプリを用いて撮影し、クラウドに送られた画像データからでAIが値を読み取り点検台帳に記帳してくれる遠隔地から監視業務を可能にしたSaaS型ソリューション。
同サービスはIoTプラットフォームを提供するソラコムと連携する形で提供され、ソラコムが提供するクラウドカメラサービス「ソラカメ」を活用することが可能なほか、スマホのカメラを利用することも可能となっている。
製造現場では昨今、人手不足が深刻化しており、工場の安全稼働に不可欠な人力による設備点検業務の負担が大きくなっているという。従来の設備点検業務は、工場を巡回しながら設備のメータを目視で確認、手書きで記録した後、PCに数値を入力し報告するという流れが主であったが、そうした人手を介する点検業務では入力の際など人的ミスも多く課題となっていたことを受け、WIZIoTの開発に至ったとAIoTクラウドでは説明している。
その特長としては、設置された固定カメラがあらかじめ設定した点検スケジュールにしたがい自動で撮影・読み取り・記録するため、巡回点検業務が不要となるほか、目視による読み取りミスや手書きによる記録ミスを最大限減らすことができる点が挙げられる。
また、1台の固定カメラにて複数のメータの同時読み取りもできるためカメラの導入コストを抑えられるほか、点検データはCSV形式で抽出できるため報告書への活用が容易に行える点もメリットだと同社では説明している。
さらに、メータの読み取に固定カメラではなく、スマホのカメラを使うこともできるため、頻繫に点検が必要な場所や高所、暗所、足元が悪い場所など人が出向くには危険な場所に固定カメラを設置しつつ、それら以外の場所には人がスマホを持って赴いてスマホアプリを活用してデータ化するといった使い分けも可能となる。スマホアプリは、メータが多い場合もQRコードで判別でき、カメラ用の設置場所や電源、通信機器を用意する必要がなく、現場の特性に合わせて柔軟に導入できるためトータル的なコストも抑えられるほか、どちらのカメラを使用しても点検データはクラウドで統合管理されるとのこと。
SaaSでの提供であるため個別開発も不要で、利用したいプランを組み合わせるだけで手軽に遠隔監視を始められるほか、機能アップデートもユーザー側が意識しないで済むほど容易であるともしており、サービス開始後もAIを強化させることで、メータ以外であるモニタに表示された文字やランプの色などの監視を可能にしていくなど、さまざまな情報をまとめて管理できるようにしていく予定だとしている。
利用プランとしては2024年2月1日時点で、固定カメラを使う「AI点検 for ソラカメプラン」と、スマホカメラを使う「AI点検 for モバイルプラン」の2種類のプランが用意されており、両プランを組み合わせた形での利用も可能。価格は、参考価格ながらAI点検 for ソラカメプランが、カメラ1台あたり月額2300円(税別)のほか、ソラカメ対応カメラが1台あたり3618円(税、送料別)と、ソラカメサービス利用料がカメラ1台あたり月額900円(税別)としている。一方のAI点検 for モバイルはメータ1台あたり月額600円(税別)としており、いずれのプランも1契約あたり初期費用として3万円(税別)が必要になるとしている(両プランを組み合わせた形の契約の場合は3万円のみで済む)。