amulapoは1月10日、月面開発を加速させることを目的とした月面模擬環境「デジタルツイン-アナログツイン」構想を用いた研究支援サービスを開始することを発表した。

月面は地球上と重力をはじめとして環境が異なるため事前に環境を予測しシミュレーションを行うことが重要とされている。そうした中、amulapoはこれまで月面を模擬するバーチャル空間やアナログ空間の造成に取り組んできており、例えば2020年より衛星データからの3次元幾何学情報を用いた惑星のバーチャル化や研究開発利用を進めてきたほか、2022年度からは鳥取県と連携し屋外での月面模擬実証フィールド「ルナテラス」の造成にも関わっている。

また、鳥取県の事業である「鳥取砂丘月面化プロジェクト」では鳥取砂丘の3次元幾何学情報の取得や、地盤と機械の相互問題を取り扱う学問であるテラメカニクスなどの分野に利用される土壌の力学情報の取得も実施。さらにルナテラスのオープン後は、複数の宇宙関係機関の実証実験の支援や、連携する事業者と実証実験を行うなど「アナログツイン」となる月面模擬環境での実験ノウハウの蓄積も行っており、こうしたこれまでの検証や実証の結果を踏まえ今回、本格的に研究支援サービスを開始するに至ったとしている。

同社の代表取締役CEOである田中克明氏はこれまで月面での宇宙機開発のエンジニアとして活動してきた経緯があり、今後の月面の宇宙機開発には衛星データなどの実データの利用や、VR/ARをはじめとする3次元デジタル技術が有効であると考察し、デジタルツインの実現に向けた検討を進めてきた一方、月面での物理挙動の予測のためには、単なるデジタルによる疑似環境の構築だけでなく、そのモデルや物理理論を構成するためのアナログとなる模擬環境の構築も重要になると考え、アナログツインを目指した研究開発手法についても検討を進めてきたとする。今回の研究支援サービスでは、月や火星の衛星データを用いた3次元月面模擬環境の提供が可能であり、月面開発を加速させるためのトータルサポートを行っていくとしている。

なお同社は、今後はさまざまな宇宙関連機関に加え、宇宙に関心のある非宇宙事業者とも連携を進め、月面開発の加速に貢献していきたいとしている。