村田製作所は1月9日、主に産業機器用途に向けて、高精度な姿勢角・自己位置検知が可能な小型6軸慣性力センサ「SCH16T-K01」を開発したことを発表した。

  • 小型6軸慣性力センサ「SCH16T-K01」

    村田製作所が発表した小型6軸慣性力センサ「SCH16T-K01」(出所:村田製作所)

産業用機器の高機能化に伴い、機器1台あたりに搭載される電子部品の点数が増えていることから、センサパッケージの小型化が求められている。さらに産業用機器の自動運転化により、動的姿勢角や自己位置を正確に取得するニーズも高まっている。

従来のセンサにおいては、センサ各軸(X軸・Y軸・Z軸)の直交性が動的姿勢角を正確に推定するための重要であり、その直交性を担保するため、これまではキャリブレーションと呼ばれる補正プロセスをユーザー側で追加する必要があったという。

そこで今回村田製作所は、MEMSジャイロとして高水準の出力安定性と低ノイズを両立した6軸慣性力センサを開発。同製品はジャイロセンサと加速度センサ各軸が直交補正された値を出力可能で、これによりユーザー側でのキャリブレーションプロセスが簡素化できるとともに、製造コスト低減にも貢献できるとする。また小型パッケージ(12mm×14mm×3mm)として製品化したことにより、省スペースでの実装を可能にしたとのことだ。

同社は、新センサを用いるだけで3軸のジャイロセンサと3軸の加速度センサの直交性が担保された6DoF(3次元において物体が取り得る動きの自由度)を実現可能だとする。

なお、新製品はすでにサンプル提供を開始しており、2024年3月には量産開始を予定しているとのこと。村田製作所は、同製品を筆頭に次世代6軸製品として「SCH16Tシリーズ」のラインナップを拡充していく見込みで、今後も市場ニーズに対応した慣性力センサの開発を進め、産業機器の高精度化に貢献していくとしている。

  • 新製品の主な仕様

    新製品の主な仕様(出所:村田製作所)