Samsung Electronicsが、米国テキサス州テイラーに建設中の先端ロジック半導体工場(ファウンドリ)の本格量産時期を当初計画の2024年から2025年に延期した模様であると韓国のソウル経済新聞が伝えている

Samsungでファウンドリ事業を総括するSiyoung Choi(チェ・シヨン)社長は、2023年12月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開かれたIEEE主催の「International Electron Device Meeting(IEDM)2023」の基調講演の中において、テイラー工場の大量量産時期について、「2024年下半期中に最初のウェハが出て、2025年から大量量産を始めるだろう」と話したという。

米国政府からCHIPS法に基づく補助金はいまだに支給のめども立っておらず、各種の許認可についてもスムーズに進んでおらず、こうしたこともあり結果として時期が後ろ倒しになったと同紙は推定している。また、景気回復に対する不確実性もSamsungの現地投資決定に影響を与えているともしており、稼働当初は、生産数量を絞り込む可能性があるという。

Samsungは2021年のテイラー工場建設発表当時から2024年内での量産開始を目指していた。同社は現在(2023年12月28日時点)も公式Webサイト上では、テイラー工場の大量量産(mass production)の時期を2024年と明示している。2004年に「大量量産」ではなく、最初のウェハが出てくるというIEDM 2023でのSamsung Foundry社長の発言とは差異が生じている。

TSMCも悩む米国での工場建設遅延

TSMCも、米国アリゾナ州で建設を進めている4nmプロセスファブの量産開始を2024年から2025年に延期している。建設労働者不足や工場労働者不足が原因とされているが、当初から期待していた米国政府の補助金の支給が大幅に遅れていることも影響しているとみられる。

2023年12月28日時点で、米国のCHIP法による米国内の半導体工場新増設に対する補助金支給は、[第1号案件として小さな軍需半導体ファウンドリに対する3500万ドルしか発表されていない](https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231218-2843977/)。

SamsungやTSMCは、米国政府から補助金を受け取れることを前提に、米国への巨額な投資を決定し、工場の建設を進めてきているわけだが、その米国政府の審査が厳格で時間を要しているようで、補助金支給のめどが立っていないばかりか、補助金の額が期待ほど多くないとするうわさもあり、両社ともに状況を見極める動きを強めているようだ。