Power Diamond Systems(PDS)は12月28日、ダイヤモンドMOSFETのドレイン電流として、横型構造・縦型構造のいずれにおいても世界最高クラスの値となる、最大ドレイン電流6.8Aを達成したことを発表した。
同成果は、2023年12月に開催された半導体の国際学会「IEDM 2023(IEEE International Electron Devices Meeting 2023)」で一部が発表されたほか、今後も学術学会や学術誌などを通じて詳細についての情報が公開される予定だとしている。
PDSは、早稲田大学(早大)の川原田洋 教授の研究シーズを基に設立された、究極とも呼ばれるダイヤモンドパワー半導体デバイスの研究開発を行うスタートアップ。ダイヤモンド半導体は、あらゆる物性値においてトップクラスの性能を有しており、特に放熱性、大電流・高耐圧性、耐放射線性などにおいて秀でた特長を有することから、次世代のパワー半導体デバイス材料として期待されている。
また、こうした次世代材料を用いた半導体パワーデバイス/高周波デバイスや、それを使ったインバータが実現すれば、電気自動車の急速充電システム、電動エアモビリティシステム、高効率再生エネルギーシステムなどの次世代の新たなパワーエレクトロニクス分野や、宇宙衛星通信システムなどでも活用が期待できるようになるため、ゲームチェンジャーになるともされている。
これまで、PDSはパワーエレクトロニクス応用を想定したうえで、デバイスイングレーションに必要な要素開発に投資を行い、ダイヤモンドMOSFETの開発基盤の構築や大電流化を実施してきた。今回の研究では縦型ダイヤモンドMOSFETのデバイス設計の見直しを行うことで、寄生抵抗の低減や集積化、歩留りの改善を含む大面積化プロセスの安定化を実現することに成功し、最大ドレイン電流6.8Aを達成することができたとする。
なお同社では今後も、国内外の研究機関や企業などの外部パートナーとの連携を通じ、さらなる技術開発とアプリケーション開発をより一層強化していくとしている。