TrendForceによると、2023年第3四半期のファブレス半導体企業トップ10社の売上高合計額は前四半期比17.8%増の447億ドルとなったという。

この2桁の高い伸びは、スマートフォン(スマホ)やノートPCの在庫が堅調に推移していること、ならびに生成AI向け半導体/コンポーネントの出荷が加速的に伸びていることが背景にあり、中でもAIブースに乗ってNVIDIAが売上高を同45.7%増と大きく伸ばした点は注目される。また、アナログICサプライヤの米Cirrus Logicもスマホ市場の需要増加に後押しされる形で、同51.7%増の成長率を達成。第2四半期10位であったPMICメーカーのMPSを抜き去り10位にランクインしたこともポイントとなっている。

  • 2023年第3四半期のファブレス半導体企業ランキングトップ10

    2023年第3四半期のファブレス半導体企業ランキングトップ10(上場会社の半導体デバイス売上高を集計) (出所:TrendForce)

業界全体の成長を支えるNVIDIAの急成長

そのNVIDIAの同四半期の売上高は同45.7%増の165億1200万ドル。生成AIとLLM(Large language Models:大規模言語モデル)に対する高い需要がけん引した。同社を含むトップ10社の売上高合計の伸び率は同17.8%増だが、同社を除いた場合は同5.9%増にとどまっており、業界全体の伸びをNVIDIAの売り上げの伸びが支えている構図となっていると言える。

とはいえ、上位10社のうち、7位のNovatek、8位のRealtekを除けばいずれも大小の違いはあるたいずれもプラス成長を達成している。例えば2位のQualcommは、新発売のフラッグシップアプリケーションプロセッサ(AP)「Snapdragon 8 Gen3」などの効果もあり、売上高は同2.8%増の73奥7400万ドル。3位のBroadcomもAI半導体、ハイエンドスイッチ、ネットワークインタフェースカードなどのAIサーバ関連の伸びなどを背景に同4.4%増の71億9800万ドルとなった。4位のAMDも第4世代EPYCとノートPC向け製品の伸びにより、同8.2%増の58億ドルを記録している。5位のMediaTekもスマホ向けAP、Wi-Fi 6、モバイル/ノート向けPMICなどが伸びた結果、同8.7%増の34億7400万ドルを記録している。

6位のMarvellも生成AI関連製品の需要の増加とデータセンタービジネスの拡大を背景に同4.4%増の13億9300万ドルを記録。9位のWill SemiconductorはAndroidスマホの需要増加もあり、同42.3%増の7億5200万ドル、10位のCirrus Logicもスマホ関連需要の増加に伴い、同51.7%増の4億8700万ドルを記録している。

第4四半期もプラス成長の継続に期待

なおTrendForceによると、ファブレス半導体企業の上位10社の多くが少なくとも第4四半期も成長を持続させると予測している。この下支え要因としては、在庫レベルが徐々に正常化していること、ならびにスマホおよびノートPC市場の季節的な回復、そしてLLMの活用ニーズが世界的かつ中小企業レベルにまで広がりを見せていることなどがあるとしている。