台湾政府行政院(日本の内閣に相当)国家科学・技術委員会(国科会)は、海外に流出する可能性のある台湾が保有する革新的技術の保護などを目的とした「国家核心技術」を発表。第1弾として、半導体をはじめとする5分野22項目を指定したことを明らかにした。

第1弾の22項目の内訳は、半導体が2項目、情報セキュリティが3項目、防衛が6項目、宇宙航空が8項目、農業が3項目となっている。半導体分野の2項目の内容は以下の通り。

  1. 14nm以下の製造プロセスのIC製造技術とその重要なガス、化学製品および設備技術
  2. ヘテロジニアスインテグレーション(異種集積)パッケージング技術:ウェハレベルパッケージング技術、シリコンフォトニクスインテグレーションパッケージング技術および必要な材料や設備技術

台湾の立法院(国会に相当)は2022年、台湾のハイテク産業の保護や核心技術の海外流出を防ぐために「国家安全法」改正案を可決し、台湾と対立する中国などに対し国家核心技術に関する営業秘密の不正譲渡などを行った場合、最高12年の懲役を科すことを決定している。その後、国科会は国家核心技術の項目を認定するための産官学の専門家で構成される審議会を設置、1年以上をかけて該当技術の審議を行ってきた。この取り組みの結果を踏まえ、台湾行政院が12月5日に内容を公表した。また、政府からの資金援助が一定基準に達した重要技術の機密に関わりがある人物が中国に渡航する際には許可が必要になるともしている。

  • 「国家核心技術」

    台湾の「国家核心技術」として指定された22項目の技術 (出所:台湾政府行政院国家科学・技術委員会)

14nmプロセス以下の半導体製造技術を国家核心技術に指定した背景には、米国が対中半導体技術規制の基準を14nmプロセス以下としており、日本やオランダなども同調している国際的な規制基準に歩調を合わせるためと見られる。台湾は14nmプロセス以下の半導体製造の世界シェアの約70%を握っているとされ、台湾の技術優位性を維持していくために戦略的に先端半導体技術を台湾内に留めておこうという政府としての姿勢が鮮明となった形と言える。

なお、国科会では、海外の産業の発展を見ながら、産官学や研究機関の意見を幅広く取り入れ、3カ月後に第2弾のリストを発表する予定としている。