IDW’23が開幕、ノーベル賞授賞で今後が期待されるQD(量子ドット)

「第30回ディスプレイ国際ワークショップ(The 30th International Display Workshops、IDW’23)」が、12月6日から8日の3日間、新潟県新潟市の朱鷺メッセで開催されている。

今年はIDW設立30周年の記念の年であり、コロナ禍でのオンライン形式から完全な対面形式に戻り、参加者数も20ヶ国995人とコロナ禍前の状況に戻りつつある。発表論文数は465件である。

今年のIDWで注目されている内容(Special Topics of Interest)は、「AI」、「AR&VR」、「AUTO(車載ディスプレー)」、「Micro/Mini LED」、「QD(量子ドット)」である。この中でも、QDは10月にノーベル化学賞の受賞が発表され、すでにディスプレーにも応用されており、今後の新たな応用に期待がかかっている。キーノート講演の2番目にはQDの一種とも見なされ議論されているペロブスカイトに関する講演が行われた(図1)。

  • IDW'23の2番目のキーノート講演の様子

    図1 IDW'23の2番目のキーノート講演である「Metal Halide Perovskites for LEDs and Their Applications」の講演風景。講演内容は、光吸収機能によるセンサ-機能をディスプレーに付与する研究である

量子ドットはすでに液晶ディスプレーの色変換フィルムが広く使われているが、その材料はCd系ないしはInPであり、青色を緑色と赤色に変換する機能を持っている。現在、自発光のデバイスであるQLED(QD-LED)の開発が進んでおり、IDWではこれまでMEETセッション(Workshop on MEMS and Emerging Technologies for Future Displays and Devices)で集中的に報告されてきたが、他のワークショップでもQDを取り上げるところも増え多くの発表が行われている。

日本からはNHK/阪大/名大の研究チームが先陣を切ってQLEDの研究成果を報告

今回は、その中の最初に登壇した内容を紹介する。NHKと大阪大学と名古屋大学の共著による「Fabrication of Quantum Dot Light-Emitting Diode Display with Multinary Compound Semiconductor Quantum Dots(FMC1-3)」である。QDの開発が海外で精力的に進められている中で、数少ない日本からの発表である。自発光デバイスとして用いるには青色の発光も必要であり、かつこれまで主に使われてきたCdを使わない非Cd系の材料が求められる。この発表では、赤色にはAg-Cu-In-Ga-S(ACIGS) QDを、緑色にはAg-In-Ga-S(AIGS)QDを、青色にはZn-Se-Te(ZnSeTe)QDを用いている。色域を決める半値幅は、それぞれ60nm、30nm、27nmである。これらの材料をIJ(インクジェット)で形成したQLEDの試作品も発表した(図2)。

  • NHK、大阪大学、名古屋大学のQLEDデバイス構造

    図2 NHK、大阪大学、名古屋大学のQLEDデバイス構造。赤、緑、緑の各QD層とEML層をIJによって形成