世界半導体市場統計(WSTS)は11月28日、2023年秋季世界半導体市場予測を発表した。

WSTSは毎年2回、春季と秋季に市場予測を行っており、2023年秋季版となる今回の予測では、生成AIなどの半導体需要の高まりにより2023年6月に発表した2023年春季版の予測をやや上方修正したものとなった。

それによると2022年の世界の半導体市場は前年比3.3%増(実績値)となったが、年後半から市況が悪化。2023年もその流れを受けて、同9.4%減の5201億2600万ドルと、2019年以来の4年ぶりのマイナス成長との予測となった。2023年春季予測では同10.3%減であったため、マイナス成長ではあるものの、若干の上方修正ということとなっている。

この押し上げ要因として、生成AI需要の高まりによるロジックの伸びが、メモリやマイクロプロセッサ/コントローラの需要もけん引したことが挙げられると見られる。

2023年の地域・国別半導体市場シェア(ドルベース)は、日本を除くアジア・太平洋地域が54.5%と過半を占め、次いで米州が25.5%、欧州その他が11.0%、日本が9.1%と予測されている。

  • 世界の地域・国別半導体市場予測

    世界の地域・国別半導体市場予測 (出所:WSTS)

また、製品カテゴリ別でみると、ディスクリート半導体が同5.8%増の360億ドル、オプトエレクトロニクスが同3.0%減の426億ドル、センサ&アクチュエータが同10.9%減の194億ドル、IC全体で同11.0%減の4222億ドルと予測されており、それぞれのシェアはICが81.2%、オプトエレクトロニクスが8.2%、ディスクリートが6.9%、センサ&アクチュエータが3.7%としている。

  • 製品カテゴリ別半導体市場予測

    製品カテゴリ別半導体市場予測 (出所:WSTS)

ICをより詳しく製品カテゴリ別でみると、メモリが同31.0%減の896億ドル、ロジックが同0.9%減の1749億ドル、マイクロプロセッサ/コントローラが同3.2%減の766億ドル、アナログが同8.9%減の810億ドルと予想されている。

  • IC製品別の市場予測

    IC製品別の市場予測 (出所:WSTS)

なお、2024年については、前年比13.1%増の5883億6400万ドルと市場回復をWSTSでは予測しており、こちらも2023年春季予測の同11.8%増が上方修正された形となっている。生成AI関連やパワーディスクリートの需要が引き続き成長することに加えて、2023年後半からの景気回復期待感の高まりを踏まえ、電子機器全般に需要が拡大するとの想定が盛り込まれる形となった。

2024年における製品カテゴリ別の市場規模は、ディスクリート半導体が同4.2%増の375億ドル、オプトエレクトロニクスが同1.7%増の433億ドル、センサ&アクチュエータが同3.7%増の201億ドル、IC全体が同15.5%増の4875億ドルと予測しているほか、ICの内訳としてメモリが同44.8%増、ロジックが同9.6%増、マイクロプロセッサ/コントローラが同7.0%増、アナログが同3.7%増との予測を示している。

日本の半導体市場はプラス成長が継続

WSTSによると、2022年の日本の半導体市場(円ベース)は、同31.7%増の約6兆3264億円。2023年も同4.2%増の約6兆3264億円と予測されている。2023年春季版では同1.9%増の予測であったが、車載向けを中心に、マイクロ、アナログ、ディスクリートが安定してけん引したものとWSTSは見ている。2024年も同8.0%増の7兆1221億円とプラス成長が続くと予測している。