ADEKAは、半導体分野の研究開発力強化を目的に、埼玉県の久喜地区開発研究所内に新たな研究棟の建設を決定したと発表した。総工費は約100億円の予定で2026年1月の完工予定だという。

ADEKAは、2030年のありたい姿「ADEKA VISION 2030 ~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献するInnovative Company~」の実現に向けた事業拡大を進めており、情報・電子化学品事業の中核を担う先端半導体向けALD材料および周辺材料のさらなる拡大、ならびに半導体パッケージング向けプロセス材料の飛躍を図るため、今回の建設の決定に至ったと説明している。

新研究棟は、開発の技術を深化・融合し、最先端半導体材料を開発する基幹研究所として、情報・電子化学品事業の拡大に向けた研究開発の中核を担って行くという。また、機能化学品事業では、素材提供型から、市場全体でのゲームチェンジに欠かせない素材を提供する課題解決型のビジネススタイルに変更し、モビリティやエレクトロニクス市場に求められる性能・製品をタイムリーに提供していくことを予定しているとする。

さらに韓国のADEKA KOREA R&Dセンターや台湾艾迪科精密化学をはじめとした国内外の各拠点で半導体製品の評価・分析・成膜プロセスを確立するなど、グループ会社との協働や緊密な社内連携のもと、盤石な研究開発体制でイノベーティブな新製品の創出に取り組んでいくともしている。

  • ADEKA久喜地区開発研究所「新研究棟」完成予想図

    図1:ADEKA久喜地区開発研究所「新研究棟」完成予想図 (出所:ADEKA)

新研究棟の概要は、鉄骨造りの地上7階建てで建築面積は1932m2、延床面積は1万1567m2で、ワンフロア850m2超のクリーンルームを備えている点を特長としており。拡張性・自由度が高く、顧客のニーズを捉えたタイムリーな新製品開発を実現することを可能とするという。コンセプトとして、「技術の融合」、「研究員の健康・安全」、「環境への配慮」を掲げており、将来を見据え、利便性、環境に配慮した機能を付与するとしており、研究員同士が技術交流を図り、新製品・アイデアを常に創出できるようにコミュニケーションの活性化を狙うスキップフロア(2.5、3.5階)構造を採用するという。

なお、新研究棟は省エネルギーや環境負荷の低減に配慮した設計を採用しており、基本設計時点での評価検討ではCASBEE(建築環境総合性能評価システム)のAランク以上を取得できる見込みだとしている。

  • コミュニケーションの活性化を狙うスキップフロア

    図2:コミュニケーションの活性化を狙うスキップフロア(2.5、3.5階) (出所:ADEKA)