三菱電機は11月13日、蘭・Nexperiaとの間で、パワーエレクトロニクス市場向けSiCパワー半導体の共同開発に向けた戦略的パートナーシップに合意したことを発表した。

SiCパワー半導体は、従来のシリコンウェハを用いたパワー半導体に比べて低電力損失である性質を持ち、高温動作や高速スイッチング動作が可能となるため、省エネルギーや脱炭素化によるGX(Green Transformation)実現への貢献が期待されており、EV(電気自動車)分野などで市場の急拡大が見込まれる。

そうした中で三菱電機は、2010年にSiCパワーモジュールを搭載したエアコンを製品化した上、2015年には新幹線向けの製品供給を行うなど、家電・産業機器・鉄道車両分野においてSiCパワーモジュール市場を先導してきたとのこと。そして、高い信頼性が要求される各分野における長年の製品開発および製造によって培われた経験を基に、高性能かつ高品質なチップを開発・製造する技術を保有しているとする。

一方のNexperiaは、ディスクリート半導体の開発・製造・品質保証において数十年にわたる知見を有しており、自動車や産業用途からモバイル、民生用途まで幅広く製品を供給するデバイスメーカーだ。

両社によると、今回の合意により、三菱電機は自社の強みである化合物半導体技術などを適用したSiC-MOSFETチップをNexperia向けに開発・供給するとのこと。そしてNexperiaは、供給を受けた三菱電機のSiCチップを搭載したSiCディスクリート製品を開発するという。

両社は今後、これまでのパートナーシップをより強固なものにし、脱炭素社会と持続可能な未来の実現に貢献していくとしており、また高性能で高品質なSiCチップの開発・製造技術をさらに高めることで、独自のモジュール開発・製造技術を適用したパワーモジュールの開発に注力していくとしている。