半導体素材大手JSRが11月6日に2023年度上半期(4~9月期)の連結決算概要を発表した。

それによると売上高は前年同期比8%減の1808憶円、コア営業利益は前年同期の169億円の黒字から10億円の赤字となり、最終的な親会社所有者帰属利益も前年同期の148億円の黒字から21億円の赤字へと転落した。

半導体市場の需要減退で売り上げが落ち込み、「円安の恩恵はあったが、半導体市場の逆風を相殺するほどではなかった」とEric Johnson社長は説明している。第2四半期単体で見ると、前四半期比で売上高が同13%増の957億円、コア営業利益が前四半期の53億円の赤字から43億円の黒字に、親会社所有者帰属利益も前四半期の26億円の赤字から4億円の黒字へと益転を果たしているが、通期見通しについては、期初の予想から売上高を290億円引き下げの4130億円に、コア営業利益を420億円から180億円に、親会社所有者帰属利益を250億円から85億円にそれぞれ引き下げたことも明らかにしている。

上半期の売り上げのうち、半導体材料分野は前年同期比19%減の551億円とマイナス成長を記録しているが、EUVリソグラフィ用レジストだけは前年同期比15%ほどのプラス成長と好調を維持している。

  • JSRの2023年度上半期(4~9月期)決算における半導体材料別売上高の前年同期比増減率および第2四半期売上高の前四半期比増減率

    JSRの2023年度上半期(4~9月期)決算における半導体材料別売上高の前年同期比増減率および第2四半期売上高の前四半期比増減率 (出所:JSR IR資料)

なお同社は、産業革新投資機構(JIC)が2023年12月下旬に実施する予定のTOB(株式公開買い付け)に応じることで非上場となる計画を打ち出しているが、現状、この計画に変更はないとしている。JSRの株式非公開化の話は2022年11月にJSR側からJICに持ち込んだことがきっかけとされているが、その狙いについについてJohnson社長は「日本の半導体材料セクターで生き残りをかけた業界再編の主導的な役割を担うため」とこれまで述べてきた。一方、日本国内の同業他社からは業界再編に対する否定的なコメントも出ており、そうした企業の多くが黒字経営を維持していることもあり、あえて赤字のJSRと一体になるメリットはなく、互いに切磋琢磨し、技術力で勝負すべきだといったスタンスを示している。