SK hynixは10月26日、2023年第3四半期(7~9月期)の決算概要を発表した。それによると売上高は 前四半期比24%増、前年同期比17%減の9兆6600億ウォン。また、営業損失は1兆7920億ウォン、純損失は2兆1850億ウォンとなり、前四半期よりはいずれの損失額ともに減少している。

DRAMが2四半期の連続赤字から黒字に転換

同社によると、業績は第1四半期に底を打った後、高性能メモリチップなどの製品需要が拡大しており、着実に回復軌道に乗っていると判断できるとしている。

そのため第3四半期の売り上げの伸びについても、DRAMとNANDの両方の出荷量の増加と平均販売価格の上昇によるものだとしており、製品別で見るとDRAMがAI用途を中心としたサーバ向けの高性能品の出荷が好調で前四半期比20%増、平均販売価格10%上昇となったとするほか、NANDも大容量モバイル製品やSSD製品が牽引する形で出荷量が増加したという。

同社の最高財務責任者(CFO)を務めるKim Woohyun(キム・ウヒョン)氏は、「前四半期比で、高性能モバイル製品、AI向けを中心としたHBM3および大容量のDDR5 DRAMに対する強い需要のおかげで、売上高は前四半期比24%増となり、営業損失も同38%の縮小となった。特にDRAM事業が過去2半期にわたる赤字状態から脱して黒字化したことが今後の成長への期待となる」と述べている。

背景にはメモリサプライヤ各社の減産効果があり、顧客側も在庫の削減が進んだことで新規発注を行う動きが出てきており、半導体価格は安定し始めていると同社は見ているという。

こうした新たな需要に応えるために同社はHBM、DDR5、LPDDR5などの高価値製品への投資を増やす計画で、特にHBMとTSV(Through Silicon Via)への投資を増やしながら、それぞれ10nmプロセスの第4世代と第5世代である1a-nmと1b-nmでの製造割合を拡大する予定だとしている。

Western Digitalとキオクシアの経営統合には反対の姿勢

またKim Woohyu CFOは、SK hynixのスタンスとしてWestern Digital(WD)とキオクシアの経営統合に反対することを表明している。SK hynixは、キオクシアに約4000億円規模の間接出資をしているが、同氏はSK hynixの持ち分が過小評価されているとし、「投資価値に対する全体的な影響を踏まえると、現時点で経営統合に同意できない」と述べている。

WDとキオクシアは10月内に交渉をまとめ10月30日に予定されているWDの決算発表までに合意を取り付け発表したいという思惑を抱いていたようだが、一部のメディアからはWDがキオクシアに交渉の打ち切りを通知したとする報道も出てきている。SK hynixの同意が得られなかったことに加え、キオクシアの筆頭株主である米投資ファンドのベインキャピタルとも統合を巡る条件で折り合えなかったためだという。