経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月25日、「革新的ロボット研究開発基盤構築事業/自動配送ロボットによる配送サービスの実現」として、京セラコミニュケーションシステム(KCCS)が北海道石狩市内で、1人のオペレーターが複数台の自動配送ロボットを遠隔監視・操作しながら配送サービスを行う実証実験を開始したと発表した。
この実証実験は物流拠点や小売り販売店などから住宅や指定地への配送サービス(通称“ラストワンマイル物流”)で問題になっている物流拠点などでの人材不足や宅配便取扱個数の増加に対応するために自動配送ロボットを活用した配送サービス実現に向けた技術の確立を目指すものになっている。同時に、「地方などで深刻化している“買い物弱者”という地域課題の解決策も探るものも含まれている」と、同事業のNEDO担当部署であるロボット・AI部は説明する。
この実証実験の内容は、市街地の車道を同時に走行する複数の自動配送ロボット(図1)を、1人のオペレーターが遠隔監視・操作するもので、配送サービスの低コスト化と運用効率の改善を目指す事業になっている。自動配送ロボットの車両は長さ2.5m以下、幅1.3m以内、高さ2.0m以下のミニカーに準じた大きさになっている。
2023年10月時点で、国内で初めての「1人のオペレーターが遠隔監視・操作する物流などでの実証実験事業だ」と、NEDOのロボット・AI部は説明する。そして、この実証実験事業を実施するために、「走行する車道などのルートとスケジュールを状況に応じて変更できる運行管理システムを事前に開発済み」とも説明する。
この実証実験事業が行われる地域は石狩市緑苑台東地区の住宅街の一部エリア(図3)で、10月25日から29日まで実施される予定だ。
なお、NEDOのロボット・AI部では、この実証実験事業の実施前に、「国土交通省の自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会の報告書を参考に、今回の事業の有資格者が運行管理とその指示を行う運用体制を構築して、実施した」と説明している。