ネットワンシステムズは10月25日、生成AI(人工知能)技術の社内利用による業務の効率化、品質向上、新たなビジネスモデル創出とユーザー企業への価値提供の最大化を目指し、同社独自というLLM(大規模言語モデル)である「netone LLM」の開発を開始したと発表した。開発やトライアルを通じて得た、生成AI技術利用の知見を同社サービスに組み込み、サービス品質の向上および、ユーザー企業のICTインフラの自律化、省人化、運用高度化を実現するという。

  • netone LLMの構成イメージ

同社はエンジニアリング業務効率化のため、長年ネットワーク領域で培ったという多様なナレッジを取り込んだ生成AIチャット環境を整備し、技術ナレッジの社内利用、ドキュメントの作成支援、エキスパート・オペレーション・センター(XOC)業務支援の3つのエンジニア業務でトライアルを実施した。

企業内の機密情報をそのままクラウド・サービスで利用することは情報漏洩の危険性などのリスクがあるといい、企業内環境でのみ利用可能な LLM への需要が高まっている。同社では、トライアル環境はクラウド・サービスを利用してGeneral Purpose GPTをベースに開発した。

ネットワーク設計ノウハウやトラブル・シューティング・ノウハウなど機密性の高い情報については、自社内にGPUリソース、ネットワーク、ストレージ、AIソフトウェアで構成する生成AI基盤を構築。LLM検証やモデル開発を通じて社内でのみ利用可能な、独自LLM「netone LLM」の開発を行い、Domain Specific GPTとしての活用を予定している。

同社の取引ベンダーでもDomain Specific LLMの開発が進み、製品やサービスへの導入が進んでいる。netone LLMとベンダーLLMとの連携も視野に入れており、これによる提供サービスの品質向上・新たなサービス開発・社員の生産性向上を実現するとのこと。

今後は、重要性が高まる社会基盤としてのネットワーク・インフラの自律化、省人化、運用高度化において、同社の知見を基に、ネットワーク設計、機器コンフィグの生成およびIaC(Infrastructure as Code)と連動する自動検証・デプロイを実現していく。

将来的には、ネットワークとセキュリティをオペレーションの側面から統合するNetSecOpsでも、生成AI技術を使用した迅速な障害切り分けや自動修復などを可能にするとのこと。

多様な生成AI技術の利用により、従来のネットワーク・インフラの設計・構築・運用・保守といった提供モデルを抜本的に変革し、同社サービスにおけるカスタマー・エクスペリエンス向上につなげていくとしている。