ASMLが10月18日、2023年第3四半期の決算概要を発表した。
それによると、同四半期の売上高は前四半期比3.3%減の66億7300万ユーロ、純利益は同2.7%増の18億9300万ユーロ、粗利益率は51.9%となったという。
また同四半期の受注額は26億ユーロでそのうち5億ユーロがEUVとなっているというが、同四半期の受注額について市場予測では40億ユーロほどであったため、予想を下回る結果となったといえる。半導体メーカーの設備投資削減あるいは凍結が反映された結果と思われる。
同四半期の売上高を国・地域別に見ると中国市場が全体の46%と、前四半期の24%から急増している。オランダ政府によるArF液浸露光装置への輸出規制については早い段階で噂されており、規制開始前にArF液浸露光技術とマルチパターニングを活用することで7/5nmプロセスの量産を推し進めたい中国企業からの大口の駆け込み需要があったためと思われる。同四半期のArF液浸露光装置の売上高は全体の48%を占めている。
このほかの国・地域別の割合は台湾が34%(前四半期24%)と伸ばした一方、韓国は20%(同27%)、米国5%(同10%)、EMEA4%(同2%)、日本ほぼ0%(同2%)とほとんどの国・地域で減少傾向となった。ちなみに同四半期のEUV露光装置の販売台数は11台(前四半期は12台)であった。
半導体業界の本格回復は2025年か?
ASMLの社長兼最高経営責任者のPeter Winnink氏は、「第3四半期の売上高は目標値の中間点にあたる67億ユーロとなり、主にDUV製品構成と一部の一時的なコスト効果により、目標値を上回る粗利益率(51.9%)を達成した。半導体業界は現在、サイクルの底を打っており、当社の顧客は2023年末までに不況から好況への転換点が見えると予想している。しかし、顧客は半導体業界がどのように需要回復するかについては引き続き不透明としていることから、ASMLでも2024年については、現在の見通しに基づいて保守的な見方をしており、2023年と同程度の売上高を予想している。ただし(高NA EUV露光装置の量産モデルが上市される予定の)2025年には大きく成長できる予測であり、それに備えるという意味では2024年は重要な年であるとも考えている」と述べている。また、第4四半期の見通しに関しては「売上高は67億ユーロ~71億ユーロ、粗利率は50%~51%と予想している。研究開発費は約10億3000万ユーロ、販売管理費は約2億8500万ユーロと予想している。さらに、通年売上高は前年比で30%ほどの成長率が期待され、粗利益もわずかだが改善が進むことで力強い成長を遂げることが期待される」ともしている。